42: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:24:44.31 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
なっちゃんに手を引かれ、保健室の前までやってきた。
「誰もいないみたいだね、入っちゃおうよ」
43: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:25:19.29 ID:bzATqBdvo
「それじゃあ、休むよ」
上着を脱いで、手を差し出している彼女に手渡した。
「風子、眼鏡も」
44: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:26:32.49 ID:bzATqBdvo
「放課後和ちゃんと話してたの、もうすぐ卒業だねって。
そしたら私、卒業するのが寂しいって、和ちゃんの前で泣いちゃった。
私ね……一年のとき友達居なかったの。
話す子が居なかったわけじゃないけど。
友達って言えるのは……たぶん、一人も居なかった」
45: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:28:14.94 ID:bzATqBdvo
今彼女が隣にいるのは、あのとき話し掛けてくれたからだ。
席が一つずれていたらどうだっただろうか。
きっかけは何だっていい、こうしてそばにいてくれるんだから。
46: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:29:19.35 ID:bzATqBdvo
「それなのに卒業するのが寂しいだなんて……。
ワガママだよね、自分が嫌になっちゃう」
こぼれた涙が枕を濡らした、文字通りの意味で。
47: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:29:50.00 ID:bzATqBdvo
「でも……」
思わず口ごもった。相談するのが嫌なわけじゃない。
なんとなくみんなに悪い気がしてしまったから。
48: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:30:39.56 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
「……ん」
薄目を開き最初に飛び込んできたのは、ピンク色のカーテンだった。
49: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:31:44.80 ID:bzATqBdvo
「風子やっと起きたわね」
「わぁっ!」
急に話しかけられ心臓が高鳴ったが、すぐに英子ちゃんだとわかった。
50: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:32:17.75 ID:bzATqBdvo
「ありがとう、私恵まれてるね」
「何かあったの? 風子」
「ううん、何でも」
51: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:33:27.42 ID:bzATqBdvo
「もう平気」
「風子、あんまり無理しないでね」
私は笑顔を作り少し強がって見せた。もう大丈夫、心配要らないよと。
52: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:34:44.17 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
『三年二組高橋風子さん、進路指導室まで来て下さい』
弁当を食べたあと数人で談笑していると、
109Res/69.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。