51: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:33:27.42 ID:bzATqBdvo
「もう平気」
「風子、あんまり無理しないでね」
私は笑顔を作り少し強がって見せた。もう大丈夫、心配要らないよと。
52: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:34:44.17 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
『三年二組高橋風子さん、進路指導室まで来て下さい』
弁当を食べたあと数人で談笑していると、
53: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:35:21.61 ID:bzATqBdvo
「先生、どういった話でしょうか? あまり身に覚えが無いんですけど」
「進路の話じゃないの、飴なめる?」
そう言って飴が三個差し出された。
54: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:36:00.25 ID:bzATqBdvo
「それがね、違うのよ。ケガして地上に降りるとき、
他の鳥が付き添ってあげるんですって。
意外でしょう?
自然って厳しいと思ってたけどそうでもないみたい」
55: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:36:52.16 ID:bzATqBdvo
――なんで、先生も和ちゃんもなっちゃんも英子ちゃんも。
「どうしてですか! なんでみんな優しくしてくれるんですか!」
行き場の無い感情が口をついて出た。
56: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:37:27.05 ID:bzATqBdvo
「聞いて高橋さん」
「……聞いてます」
母親になだめられる子どもの様で、自分が惨めに思えてきた。
57: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:38:18.52 ID:bzATqBdvo
「一つだけお願い。
あなたが大人になって強くなっても、優しいままでいて欲しいの。
本当に強い人っていうのは優しさも持ってるはずだから」
「でも私……、どうすれば強く、どうすれば大人になれますか?」
58: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:39:11.19 ID:bzATqBdvo
「本を読んでみるのもいいかもね、
学校で習うことなんてほんの一握りなんだから。
知識が広がるわ、あなたはもう知ってるかもしれないけど」
「それ以上に人と関わってみる事ね、苦手だって思ってるでしょう?
59: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:39:54.81 ID:bzATqBdvo
「――さて、話はおしまい。年をとると説教臭くなって嫌ね」
まだ若いのに、学生に囲まれるとそう感じるのだろうか。
「先生は若くて綺麗です、説教臭くもありません」
60: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:40:24.03 ID:bzATqBdvo
私はあまり目立つ方ではない、それは自覚している。
でも見ていてくれた、私の事を。
大勢の生徒としてではなく私を。
「このクラスには問題児が多くてね、ついつい気を取られちゃうの。
61: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:41:44.11 ID:bzATqBdvo
なんだか恥ずかしくなって、思い出したように声を発した。
「えっと……相談があるんですけど」
「ごめんね私ばかり喋ってて、卒業のことね?」
109Res/69.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。