72: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:54:40.26 ID:bzATqBdvo
「なんかね、私のことばっかり聞いてくるんだ。
『勉強進んでる?』とか、『一人暮らし大丈夫?』とか。
たぶん心配してくれてるんだろうけど――」
いつも和ちゃんはクラス全体のことを考えている。
73: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:57:12.60 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
唯ちゃんと別れ、家に帰ってから、ある一つのことを考えていた。
食事中でも、入浴中でも、勉強中でも考えていた。
74: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:59:26.25 ID:bzATqBdvo
眼鏡を外し、ベッドに潜り思いを巡らす。
『先生のために、みんなのために』ということを。
形に残る物がいいのか、残らない物がいいのか。
渡す時期も場所もまだ決めていない。
75: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:01:40.16 ID:bzATqBdvo
いつか眠れない夜があった。
今日もあの夜に似ているかもしれない。
あのときは世界中で一人だけみたいだと感じていた。
でも今はそんなこと思わない。
76: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:04:29.47 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
何かに集中していると時間は早く過ぎるものだ。
勉強、模擬試験、復習、規則正しいサイクルで日々は過ぎていく。
77: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:06:20.70 ID:bzATqBdvo
みんなで話し合った結果、寄せ書きを贈ろうということに決まった。
和ちゃんも乗り気のようで、色紙やマーカーの注文もしてくれるそうだ。
『やっぱりみんなさわ子先生が好きなんだな』と、今回のことで実感した。
78: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:10:07.32 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
白い色紙が色とりどりのメッセージで埋まり始めたころ、
軽音部のみんなが卒業旅行から帰ってきた。
行った先はなんとロンドンだ。
79: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:11:56.10 ID:bzATqBdvo
軽音部のみんなが職員室から戻ってきて、
部長である田井中さんが口を開く。
「さわちゃんに聞いて来たんだけど、早朝ならいいみたいだぜ。どうする?」
80: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:13:30.09 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
ライブの当日、私も準備に取り掛かる。
机を並べての即席ステージ、黒板には軽音部のみんなを称えるメッセージ。
81: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:14:55.84 ID:bzATqBdvo
「――それでね、最後の日さわちゃんが……」
唯ちゃんの話も長引いてきたころ、田井中さんが控えめな声で話し掛ける。
「おーい、そろそろ始めるぞ」
109Res/69.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。