94: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:50:14.60 ID:bzATqBdvo
私もこのクラスでよかったと心から思っている。
「卒業してもまた、遊びにきてね」
山中先生はそう言ってしばらく間を置き。
95: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:52:40.28 ID:bzATqBdvo
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教室の出口には和ちゃんと軽音部の四人が集まっていた。
五人の手には黒い筒が握られている。
卒業証書、それは桜高に居たという証拠だ。
96: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:53:45.06 ID:bzATqBdvo
「夏香、何してるの?」
すでに黒板には先生へのメッセージであふれている。
『大好き』とか『ありがとー』とか『おつかれ』とか。
『卒業おめでとう』という言葉を囲むように。
97: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:54:43.24 ID:bzATqBdvo
黒板には彼女の字で『さわちゃん』と書かれている。
「えっと……」
一年のとき、いろいろと絡んでくれる子たちがいた。
98: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:59:05.40 ID:bzATqBdvo
なっちゃんは黒板に『サイコー』と付け加え、チョークを置いて言う。
「私ね、山中先生をさわちゃん、って呼んでみたかったんだ。
だから黒板に書くの、『さわちゃんサイコー』ってね」
99: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 23:01:48.80 ID:bzATqBdvo
「ふふっ」
家族みたいだ、私が妹でなっちゃんがお姉さん、英子ちゃんがお母さん。
「何? 風子、今の笑いは」
100: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 23:04:29.66 ID:bzATqBdvo
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しばらく校舎を見て周り、私たち三人は外へ出た。
青色の絵の具に、気持ち程度橙色を混ぜた空だ。
101: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 23:06:26.50 ID:bzATqBdvo
彼女たちのことだ、きっと悲しい別れにはしないだろう。
――何だかうらやましいな軽音部って。
「おーい、風子ー」
102: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 23:07:31.99 ID:bzATqBdvo
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真鍋 和様
初夏の風もさわやかな今日このごろ、いかがお過ごしですか。
103: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 23:09:46.87 ID:bzATqBdvo
堅苦しいのはここまでに致しまして、
そちらの状況はいかがでしょうか?
私はまあまあ上手くやっています。
一般的に大人と呼ばれる年齢は過ぎましたが、
104: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 23:12:14.38 ID:bzATqBdvo
駄文はこれまでにして、一つお知らせがあります。
近々、私の本が出版されることになりました。
書く際には私たちの高校時代をモチーフにしました、
もちろん脚色はしてあります。
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