10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/06/11(月) 19:51:18.63 ID:mM4hAfqU0
「じゃあ何で今は、そうはっきりした態度を取ってるんだよ。
おかしいじゃないか。直接言えなかったのなら、今だって」
反論した所で、律の心が帰ってくる事は無い。
分かっていた、それでも反駁せずにはいられない。
「いちごが傍に居て、勇気をくれるから。
それに、私がいちごに告白できるよう、背を押してくれた人がいるから。
その応援に応える為にも、澪との仲を曖昧にはできないよ。
私はもう毅然としないと、いけないんだ」
二人の仲は、律の告白から始まったらしい。
だが、それ以上に澪の注意を引く言葉があった。
「応援?誰かが、お前といちごの仲を取り持ったのか?」
「そんなんじゃなくって、言ったろ?背を押してくれたって。
私が自分に自信を持てなくて、いちごへの告白を躊躇ってた時にさ。
聡が背を押してくれたんだ。聡が居なきゃ、きっと付き合えてなかったよ。
だから、その思いに応えたい」
律は先程の言葉通り、毅然として言った。
「聡が……」
澪は愕然とした思いで呟く。
弟のように可愛がっていた存在からさえ、裏切られた思いだった。
「そう言う事。じゃあな、澪。
私ら、そろそろ帰るから」
呆然と立ち尽くす澪に構う事無く、律はいちごの手を取って歩き出した。
咄嗟に我に返った澪は、必死の思いを込めて叫ぶ。
「ま、待てよっ。律、絶対に後悔するぞ?
私を捨てるんなら、絶対に酷い目に遭うぞ?」
「稚拙な脅迫なんか、聞く耳持たないよ。
いちごに何かしたら、私が一生澪を許さないし」
律は振り返る事なく、歩きながら言った。
続いていちごが歩きながら顔だけ振り向いて、澪に言う。
「同じく。律に何かしたら、私だって許さない」
「ま、待てよ。待ってよ……待って……」
なおも繰り返す澪に、二人はもう反応を返してこなかった。
澪は絶望に打ちひしがれたまま、その二人の背を見送る事しかできなかった。
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