2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/06/11(月) 19:34:51.67 ID:mM4hAfqU0
律は洗面所の鏡に映った顔を見て、溜息を一つ吐いた。
「釣り合わないよなぁ」
独り言を漏らしながら、いちごと連れ添って歩く映像を脳裏から払った。
律は以前からいちごに恋心を寄せていたが、どうしても告白に踏み切れなかった。
友人という関係を壊したくないのではなく、自分に自信が持てなかった。
「釣り合わないって、誰と?」
「えっ?」
唐突に後ろから声が聞こえて、律は反射的に振り返った。
そこには、首を傾げる聡の姿があった。
「さ、聡っ?いつから、そこ居たよ?てか、聞いたのか?」
驚いた律は、矢継ぎ早に言葉を放った。
「いや、聞くつもり無かったけどさ。
洗面所通りかかったら、姉ちゃんが深刻な顔して鏡を眺めてたもんだから。
つい、心配になっちゃって」
慌てて弁解する聡の姿が、律に先程の自分の対応を思い返させた。
不意を打たれたとはいえ、問い質すような自分の語勢は冷静さを欠いていた。
少なくとも、心配してくれている可愛い弟に向ける態度ではないだろう。
そう反省した律は柔らかい笑みを作って、優しい声音で言葉を放つ。
「ああ、別に責めるつもりは無いんだ。私が勝手に呟いたんだし。
それより、心配してくれて、ありがとな」
「いや、いいって。姉ちゃんの事なんだし、心配だってするよ。
でも、姉ちゃん。聞いちゃったついでに、訊きたいんだけど。
釣り合わないって、誰と?やっぱり、澪ねぇ?」
もう一度問いを繰り返す聡に、律は手を振りながら返す。
脳裏に蘇る澪の病的な執着心を、振り払うように。
「澪ぉ?ないない、それだけは無いって。
確かに釣り合わないだろうけどさ、それ以前に、澪はヤだよ。
だって、暴力的で怖いし、強引だし」
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