過去ログ - 「子供ができた、って言ったらどうします?」
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)
2012/06/20(水) 00:11:23.00 ID:iugIrB0j0
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 ゲロゲロキッチンの収録が順調に進み、プロデューサーはほっとした。
 少女たちは皆それぞれ抜群の働きをしている。
 まず何より千早の表情が常と違った。彼女は開始から現在まで終始笑顔だ。初めて出演したときの仏頂面からは想像もつかなかった。彼女自身の大きな心境の変化が顔に現れたようだった。以前にこのスタジオで見せた笑顔には照れがあった。しかし今は無い。料理に臨む上での真剣さはあるが、心の底からその笑みは出ていた。
 コンビを組むやよいも、屈託のない笑顔を見せていた。彼女は冠番組として、『高槻やよいのお料理さしすせそ』を持ち、そこで料理の腕を披露している、そしてそれはこちらでも変わらない。高級食材を手にすることは出来なかったが、それでもその工程を見る限り、完成品の出来栄えが期待できた。
 このコンビが如何なる働きを見せるのか、他の機会でもあまり組ませたことのない二人なので、プロデューサーはそこが気がかりであったが、それはどうやら杞憂に終わりそうだ。少なくとも予想以上のチームワークだった。千早は彼の知らない間に料理の腕を伸ばしていた。大方、天海春香が教えたのだろう、と彼は想像した。
 真と雪歩のチームも負けず劣らずに思えた。プロデューサーはそれほど料理に心得があるわけではなかったが、その手際は素人目に見てもなかなか良かった。
 真が、僕の新境地が見せられる、と言った理由が理解できた。プロデューサーは彼女の女性的な面を心得ていたつもりではあったが、それを踏まえてでもイメージを軽く超えた。その手捌きには、平生彼女がステージ上で見せる凛凛しさとは違う、繊細さがあった。
 雪歩の顔はどこか浮かない。しかしそれはいつものことである。プロデューサーは収録前に彼女が、

『私なんかのお料理食べたらカエルさんが…番組からいなくなっちゃいますぅ…』

などと物騒なことを漏らすのを聞いたが、それでもさして気には留めなかった。雪歩は比較的何でもそつなくこなす、やれば出来る子だ、彼はそのことを誰よりも解っているつもりだ。実際目の前では危なげない調理が進んでいる。


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