過去ログ - 真「ここは……」やよい「……どこですかぁ?」
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51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)
2012/08/28(火) 23:49:45.44 ID:IaG+/5GAO

(それにしても、変な番組だなぁ)

心の中で感想を漏らしていると、筑川が自分のケースを見つけたようで、スーツケースを抱えて戻ってきた。
『中年リーマン』と書かれたスーツケース。
書かれたことは見た目のままの内容だ。


やよいを見やると、何を考えていたのか無表情で見つめ返してきた。

「……取りに行こうか」

「あ、はいー」

やよいの気の抜けた返事を聞き届けてから、真はやよいと共に玉の裏側に回って自分たちのスーツケースを探した。
棚に入っているスーツケースは残り三個だ。
それを一つずつ引き出しては表面を確認する。

「あ……それ多分、私のですー」

言ってやよいが一つのケースを指差した。
真は指されたスーツケースを取り出して表面を見ると、そこにはへろへろの字で『もやしっ子』と印刷されていた。

「……そういえばやよいはもやしが好きだったんだっけ?」

「はい、家族でよくもやしパーティーをやってますよー」

その『もやしパーティー』が余程楽しいものなのか、やよいは笑顔を浮かべて答えた。

「はは、そっか」

相変わらず輝かしい笑顔に釣られて微笑みながら、真はもう一つケースを引っ張り出した。

『まこと王子』

「……王子、ね」

文字を見つめながら、思わず呟いた。
この黒い玉にさえ男扱いされているような気がして、なぜだか情けない気分になった。

(まぁ、馴れてるからいいけどさ)

溜め息を吐きながらもスーツケースを持って戻ろうとして、残り一つのケースの存在に気付く。
興味本位でケースを引き出すと表面に『ギャル』と書かれていた。

(……松本さんのだよね?これ)

しばし考えた後、念の為、そのスーツケースも引き出した。

(一応、持って行こう)

しかし真の引き出したもう一つのケースを見て、やよいは戸惑ったようだ。

「あの真さん、そのケースって」

「まぁ、一応ね。ほら戻ろう」

戸惑うやよいを促し、二つのケースを持って玉の裏から出て行く。
それとほぼ同時に玄関から、例の黒いスーツを着た少年が畳んだ学生服を手に持って部屋に戻って来た。

「じゃ、次は私が行きますね?」

筑川がケースを手に遠慮がちに真とやよいに声を掛けてきた。

「あ、どうぞ」

真がそう言うと、筑川は軽く会釈してから玄関に向かって行った。
筑川を見送ってから、真は松本に歩み寄って、ケースを差し出した。




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