過去ログ - QB「魔法少女達の軌跡」 -SS速報VIP

過去ログ - QB「魔法少女達の軌跡」

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222:激弾・紅孔雀[saga]
2012/11/30(金) 23:03:43.52 ID:5Od1gQh/0

　朝食を取ったのち、暫く休んでいると、玄関の呼び鈴が鳴った。
「こんにちわー」
　来客は、洋子だった。
「よ。今日はアタシ一人だから、遠慮しなくて大丈夫よ」
「うん、お邪魔します」
　圭の部屋に、二人と一匹が入る。
　一度咳払いを入れてから、キュウべえによる、魔法少女講義の開始だ。
「昨日は軽くしか説明していなかったから、今日は改めて魔法少女と魔女について説明するよ」
「昨日言ってたまんまだろ？　魔法少女は希望を振り撒く存在で、魔女は絶望をばら撒く存在ってさ」
　圭は楽観的に物事を捉えていた。
「極わめて簡単に言えばね。
　実際にやる事は沢山あるよ。圭は昨日契約したばかり。洋子もまだ。契約して一か月も経っていないんだからね」
　キュウべえは、少し呆れ気味に圭を見る。洋子は横目で見つつ、右手の中指にはめている指輪から、ソウルジェムを召喚した。
「えっとね。魔法少女になると、このソウルジェムって宝石を手に入れるの。
　これが無いと、魔法少女に変身出来ないから、常に持ち歩かなければいけない。それと、このソウルジェムは魔法を使うと順番に、穢れを溜めてしまう。
　そこで、魔女の落とすグリーフシードを使って、ソウルジェムの穢れを浄化させる」
　洋子はキュウべえに教えられた知識を、ここぞとばかりに披露した。ついでに、ソウルジェムの浄化も一緒に披露した。
「……つまり、魔女を倒さないと魔法が使えないから、魔女を退治する訳ね」
「それも、そうだけど。やっぱり、街の平和を護るって事も大事だと思うんだ、私……」
「平和を護る、ねぇ……。アタシは、正義の味方より悪の一味を応援する捻くれ者だからね。ま、ストレス発散の為に、魔女退治でも悪く無いでしょ？」
「もう……そんな事ばっかり言って」
　ケラケラと笑う圭を見て、洋子は呆れ気味に肩を落とす。方向性は同じでも、中のベクトルは随分と違うようだ。
「目的はどうあれ、魔女退治をして貰うのは、僕としてもありがたいよ。
　そして、ここからが本題さ」
「……？」
　キュウべえの一言に、圭も洋子も、首を傾けた。
「魔法少女に取って、グリーフシードは生命線。言い換えれば、グリーフシードを狙ってくる魔法少女も中には存在するのさ」
「どういう事だよ？」
「グリーフシードを数多く持てば、それだけ魔法を多用出来るって事さ。その方が魔女退治も、魔法少女同士で争う時でも、有利に戦えるのさ」
「キュウべえ……魔法少女同士で、争う事って有るの？」
　洋子は、少し表情を強張らせた。
「それなりにね。魔法少女にも縄張りが有るけれど、それを奪う為に侵略する者も存在する。本来は、他人の縄張りに手を出す事はご法度なんだけど……全員が全員ルールを守る訳じゃない」
「縄張りが増えれば、多くの魔女を倒せる。そんでもって、グリーフシードも多く手に入れる事が出来るって事ね」
「そうだよ」
　圭の言葉に、キュウべえの首は縦に動いた。それを見て、口元がニヤッと笑う。
「……圭ちゃん、そんな事しちゃダメだよ？」
　洋子は慌てて釘を刺した。
「解ってるよ。そこまで、落ちぶれちゃ居ないって。ただ……」
「ただ？」
「こっちに侵入してきたら、容赦しなくて良いって事だよな」
　圭は、悪役が見せる様な、いやらしい微笑を浮かべた。
（……本当に解ってるのかなぁ）
　洋子は、少し不安そうに圭を見つめる。
「ま、後は君たちの好きにすると良いさ。それと、もう一点だけ。
　今、君達のソウルジェムが光っているだろう？」
　キュウべえの言葉通り、二人のソウルジェムは点滅していた。
「近くに魔女が現れたサインだ。すぐにでも行けるかい？」
「当然!!」
「勿論だよ!!」
　二人は強く頷いた。

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