64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/09(月) 23:08:35.21 ID:m9EqWN5DO
美希を乗せた車が事故にあったのは18時を過ぎたころ。
ここから現場までは走って20分くらい。
オーディション会場を出たとき、街はオレンジ色に染まり始めてた。
それなら、時間を遡る先は…。
65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/09(月) 23:23:24.03 ID:m9EqWN5DO
「なんでだよ!」
気がつくとボクは、眼を閉じたままで叫んでいた。
「飛べよ…飛べったら!」
66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/09(月) 23:40:42.04 ID:m9EqWN5DO
「もう無理なんだよ、真ちゃん」
ボクを諭すような口調で、雪歩が繰り返した。
「なんで雪歩がそんなこと……」
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/09(月) 23:58:46.39 ID:m9EqWN5DO
飛んできたカラスのせいで屋上のコンクリートに落ちた、雪歩の白い肩掛けバッグ。
そのバッグからこぼれた中身の1つが、『それ』だった。
小さく透明な、ガラス製の容器。
中身は確か、薄く紫がかった、ピンク色の液体。
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/07/12(木) 16:54:11.82 ID:SCpFe8zDO
マダカナー
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 21:32:31.37 ID:boNXm6IDO
聞きたいことはたくさんあった。
だけど相変わらず、ボクの頭の中は混乱したまま。
月明かりに照らされた雪歩の姿は、現実離れしたものみたいに思えた。
その雪歩が、何かを決意したような口調で言った。
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 21:56:09.10 ID:boNXm6IDO
「よく聞いて、真ちゃん」
透き通った雪歩の声。
儚くてキレイで、そして稟とした、ボクの大好きな声。
いまはその声に、不思議な力強さが加わっていた。
71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 22:28:02.49 ID:boNXm6IDO
「事故の時間は18時過ぎ。真ちゃん、ここから事故現場まで何分で行ける?」
「……走って20分くらい」
「じゃあ、事故の起きた15分前に飛ぶよ」
72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 22:42:53.83 ID:boNXm6IDO
「……ホントに、時間を越えられるの?」
しばらくの沈黙のあと、やっと言葉を絞り出した。
それに反応した雪歩が眼を開く。
73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/15(日) 01:32:09.88 ID:51rTRIsDO
柔らかな微笑みを浮かべた雪歩が、ゆっくりとボクに歩み寄ってくる。
そして右手を差し出した。
その手のひらに、自分の右手を重ねる。
もう、2人の間に言葉は無かった。
同じタイミングで眼を閉じ、呼吸を合わせる。
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