過去ログ - 真「時をかけるボクら」
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69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 21:32:31.37 ID:boNXm6IDO
聞きたいことはたくさんあった。
だけど相変わらず、ボクの頭の中は混乱したまま。
月明かりに照らされた雪歩の姿は、現実離れしたものみたいに思えた。
その雪歩が、何かを決意したような口調で言った。

以下略



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 21:56:09.10 ID:boNXm6IDO
「よく聞いて、真ちゃん」

透き通った雪歩の声。
儚くてキレイで、そして稟とした、ボクの大好きな声。
いまはその声に、不思議な力強さが加わっていた。
以下略



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 22:28:02.49 ID:boNXm6IDO
「事故の時間は18時過ぎ。真ちゃん、ここから事故現場まで何分で行ける?」

「……走って20分くらい」

「じゃあ、事故の起きた15分前に飛ぶよ」
以下略



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/12(木) 22:42:53.83 ID:boNXm6IDO
「……ホントに、時間を越えられるの?」

しばらくの沈黙のあと、やっと言葉を絞り出した。
それに反応した雪歩が眼を開く。

以下略



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/15(日) 01:32:09.88 ID:51rTRIsDO
柔らかな微笑みを浮かべた雪歩が、ゆっくりとボクに歩み寄ってくる。
そして右手を差し出した。
その手のひらに、自分の右手を重ねる。
もう、2人の間に言葉は無かった。
同じタイミングで眼を閉じ、呼吸を合わせる。
以下略



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/15(日) 01:57:05.44 ID:51rTRIsDO
夜から夕暮れどきに飛んだせいか、頭が少しボーっとする。
だけど、雪歩の強い口調で一気に我に返った。

「走って、真ちゃん!」

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75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/20(金) 01:35:26.30 ID:4qmmSL/DO
沈んでゆく太陽を背に、ボクは走った。
空にはオレンジ色に染まった大きな入道雲。その入道雲に向かって、わき目もふらずにただ走った。
15分間の全力疾走なんて経験したこともないから、すぐにわき腹が痛くなってきた。頭もクラクラするし、心臓も激しく鼓動してる。
だけど脚だけは、懸命に動かし続ける。

以下略



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/20(金) 01:55:59.27 ID:4qmmSL/DO
事故現場までの最後の信号を越え、事務所が入っているビルの前を走り過ぎた。
そこからさらに走ると、交差点の路肩に停まっている一台の車が見えた。
その傍らには、夕陽を受けて輝く金色の髪。

美希だ。
以下略



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/20(金) 02:19:35.10 ID:4qmmSL/DO
「美希…美希!」

抱きしめたまま、美希の名前を呼んだ。

「ま、真君?」
以下略



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/20(金) 02:32:57.06 ID:4qmmSL/DO
「王子さまの菊地真ちゃんね?」

美希とは違う低い声。だけど、悪戯っぽい口調はよく似てる。

「は、はじめまして!菊地真です!あの…その……」
以下略



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/20(金) 02:44:14.97 ID:4qmmSL/DO
「ところで、どうしたの真君?汗びっしょりだよ?」

……そう聞かれても、返答のしようがないよね。

「美希を助けるために時間を越えて、それから走った」
以下略



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