過去ログ - セイバー「問おう、貴女が私のマスターか?」禁書目録「え?」
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5: ◆ecH57LqR9PZC[saga sage]
2012/06/22(金) 16:38:39.62 ID:XW9EKdn60
酷く原始的に部屋に入り込んできたのは、背の高い、どこか豹じみたしなやかな男性らしかった。
まだ闇に慣れていない目ではあるけれど、周囲の明りで薄っすらとその姿は見て取れた。
青、ないし紺、もしくは黒であろうボディースーツの各所に防御の為の金属をつけている、動きやすさ重視のその服装。
そして、まるで軽く肩にかけている赤い、間違いようもなく紅い槍。
それらを身に纏っているその獣臭い精悍な顔をした男性。
今まで私が相対して来たそのどれよりも獰猛で―――。

―――強い。

ただ立っているだけでそれを解らされてしまった。
つまりそれは逃げられないということだった。
必死に頭の中を探っても、一秒に満たない先の未来で私が殺されるのは明白だった。

「…………とう、ま」

震える声で、いない彼に助けを求めてしまう。
普段なら絶対に彼に助けなんか求めない、私が助けてやると思っているのに。
結局私は彼に守られるだけの存在でしかなかったのかも知れない。
そう思うとこんな状況なのに涙が溢れてしまう。
死の恐怖を上回る情けない自分。
そしてここで死んでしまうと、彼は自分を責めるだろう。
弱い私のせいで彼が苦しんでしまう。
そんなことは、そんなことは、そんなことは―――。
―――出来ない。
私は、目に一杯の涙を浮かべて顔をあげた。
目線を合わせるだけ死ねそうな男を睨んだ。


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