過去ログ - P「お前の夢にはついていけない」律子「……そう」
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(神奈川県)
[saga]
2012/08/19(日) 23:49:18.51 ID:vMSRXzRQo
第六話『またね』
結局、ミーティングは一時休止として、律子は夢子が待っているという応接スペースに向かった。
その後を涼とあずさが心配そうについてくるのはまだわかるにしても、美希と伊織までついてきているのは、あきらかに野次馬であろう。
だが、律子としては止める気にもなれず、放っておくことにした。ややこしい話になれば、どうせ別の場所に移動しなくてはならないだろうから。
このフロアに入ってすぐに設けられている応接スペースは、仕切りはあるものの、半分開放的な空間で、難しい話――ことに密談をするには
向いていないのだ。
後ろに四人を引き連れながらそのスペースに入ると、気配を感じたのか、半透明の仕切りの向こうで誰かが立ち上がるのがわかる。
律子はそのままその仕切りの中に入り、そして、茶色い髪の少女が、自分に気づいてわずかにのけぞるようにするのを見て、小首を傾げた。
そんな二人の様子を、一つは直に、一つは仕切り越しに見やって、伊織はため息を吐く。
「律子って鈍いわよね」
「なにが?」
「自分が元トップアイドルで、同業の人間にはそれなりの威光っていうか、プレッシャーがあることに気づいてないのよ。だから、現場で新人とかが
畏縮してても不思議そうに反応するの。いまも一緒よ」
ああ、と頷く美希。そんな会話が後ろでなされているとは知りもせず、律子は朗らかに挨拶の言葉を紡いだ。
「お久しぶりね、桜井さん。私に話があるんですって?」
「はい。……あ、でも、涼もいるんだったら、同席、いいですか?」
仕切りの上から覗く涼の頭を指さして、夢子は言う。
「ええ。ほら、涼も入って」
「う、うん」
律子が促すのに、おずおずと入ってくる涼。結局、仕切りの中に律子、涼、夢子の三人、外で見守るあずさ、伊織、美希の三人とわかれることになった。
「なにかしら。もしかして、うちに来てくれるとか?」
「それは魅力的ですけど、今日は違います」
一つ息を吸い、夢子はわずかな間、顔を俯かせる。そこでなにか決意でも固めたかのように決然と顔を上げ、律子のことを見つめた。
一方、強い視線を向けられる律子のほうとしては、なにをそんなに気負っているのか理解出来ず、戸惑うばかり。
そんな中で、彼女は言った。
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