過去ログ - P「お前の夢にはついていけない」律子「……そう」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/06/22(金) 22:08:05.85 ID:FuSozdXdo
 もちろん、この推測には、彼女の願望も多分に入っているのだが。
 律子はしばしそんな思考を巡らせた後、ふうと一つ息を吐いた。

「だからって日高舞が入って強力になるであろう事務所を抜ける理由はないと思うけど。まして、その夢を託す相手が、初っぱなからつまずいてる私じゃあ」
「舞さんの移籍話は、まだ具体化していない。もちろん、舞さんのことだから言ったことは実現させるだろうけど、時間はかかる。周りの影響もあるからね。
……たぶん、三ヶ月後くらいかな」

 肩をすくめて涼は言う。
 その言葉の意味はわかりにくいものであったが、悪戯っぽい表情と合わせて見れば、律子にはすぐ理解出来た。

「だから、その間に自分をトップに導けるだけのプロデューサーになっておけって? 無茶苦茶よ、あんた」
「おじけづいたの?」
「こらっ! 調子乗るんじゃないの。仕事の話じゃなきゃはっ倒してるわよ?」

 一喝してから、彼女はしばし視線をさまよわせた。
 周囲を見、天井を見上げ、最終的には涼の柔らかな笑顔に戻る。

「わかったわ。一ヶ月……うん、一ヶ月待ちなさい。地盤を固めて、876とも話をつけて、あんたを迎え入れるだけの態勢を整えてみせようじゃないの」
「それでこそ律子姉ちゃんだよ」
「ふん。言ってなさい」

 わずかに頬を赤らめながら、律子は涼の弾けるような笑顔から、顔を逸らしている。
 立ち上がり、伸びをして、彼女はうーんと一つ唸りをあげる。

「さ、忙しくなるわよ。あんた、今日暇なのよね? 暇にしなさい。色々手伝ってもらうわ」

「はいはい」

 苦笑しながら立ち上がり、彼女の指示に従って動き始める涼。
 その背を見つめて、彼女は、誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた。

「……ありがとう、涼」
 と。


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