過去ログ - P「お前の夢にはついていけない」律子「……そう」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/06/24(日) 22:32:06.01 ID:mPrEAa4Zo
「ふぅ……」

 髪を留めていたゴムを外すと、銀の髪がばさりと背を覆った。
 貴音はレッスンスタジオの一角に座り込み、タオルで汗を拭う。

「大丈夫?」

 その声に顔を上げれば、スポーツドリンクを差し出す律子の姿がある。彼女もまたレッスンウェアであったが、貴音のように珠の汗を浮かべてはいない。
 今日の律子は貴音、真、響というトリオのトレーナー役であった。

「ええ、少し休めば動けるようになります」
「ん」

 スポーツドリンクを貴音に手渡し、自身も水分補給にドリンクを口に含みながら、律子は立ったまま壁にもたれかかり、逆の端でなにか談義をしている
真と響を眺めやる。
 二人は激しいレッスンの合間だというのに振り付けの確認か、あるいはその改良か、議論をしながら、かろやかにステップを踏んでいる。
 その底抜けの体力に、律子は複雑な表情になった。

「あの二人相手だと、私なんかに教えることないんじゃないかしら」
「そうでもありませんでしょう。いかにダンスが得意な二人とはいえ……いえ、だからこそ己の動きを過信して、細部が疎かになったり、逆に全体を
見損なったりする可能性はあります。律子の目ならば、きっと、それを見つけて指摘できるはず」

「まあ……たしかに、二人ともむきになりやすい性質だしね。ついでに調子にも乗りやすい」
「はい。しかし、あの二人のある種向こう見ずなほどの明るさに、わたくしはいつも救われております」
「それはあるわね」

 二人は軽やかに笑う。きゃらきゃらという笑い声に真たちは不審げに彼女たちを見てきたが、律子がなんでもないというように首を振ると、再び
ダンスのチェックに戻っていった。


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