過去ログ - P「お前の夢にはついていけない」律子「……そう」
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49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/07/01(日) 02:08:58.82 ID:PuuLvK0+o
「マイペース気味の二人を伊織にひっぱらせるか。ソロでやっていくより、相乗効果を得られると、律子は判断したわけだな」
「はい。その通りです。私は伊織なら、リーダーを立派に務めてくれると信じています」

 しばし、沈黙が訪れる。けして否定的な空気ではないが、それでも律子の掌中は汗まみれになっていた。

「プロデュース統括としての意見はどうかね?」
「悪くはありません。あずささんが今後について不安を持っていたのは事実ですし、伊織にとっても良い経験になるのは律子の言うとおりです。
美希は……まあ、律子なら手綱を握れるでしょう」

 チーフは企画書をとんとんと指で叩きながら続ける。

「さらに、俺が発注したデザインやらなにやらを流用できるので、準備期間もコストも削れるのは利点ですね。事務所にとっても、律子にとっても、
これはいいことでしょう。いいところに着目したと思います」

 ただし、と言って彼は身を乗り出した。

「一つ、致命的な弱点があるな、律子」
「な、なにがでしょう?」

 途端に律子の顔から血の気が失せる。何が問題だったのかと高速で思考を巡らせる彼女に対して、チーフは一つ咳払いをしてから切り出した。

「竜宮は春香や亜美たちの姓から思いついたものだ。コンセプトは海。あずささん、伊織に関してはともかく、美希の名前にはそれを思わせるものはないぞ」
「う……あ、そ、そうだ。井! 井戸だって水に関係ありますよ!」
「星井の井か。しかし、井戸は真水だろ?」
「浦島太郎だって、陸から竜宮に行きましたよ!」
「しかしなあ……。真面目に言うけど、わかりやすい記号とか、べたな組み合わせってのは、アイドルにとっては売りの一つになるもんだぞ。
ファンが楽しんでくれるものに、あまり面倒なこじつけはちょっとな」
「そうは仰いますが……」

 二人が言い合うのを、社長はにこにこと見守っている。
 彼には、チーフが、律子の仕事を出来るだけ円滑に進むように気を遣っていることがよくわかった。自分の企画の面影を無理に留めなくてもいいと考えて。
 一方で律子の側はチーフの作った企画を世に出すことも大事だと考えている。そのこともよくわかる。


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