過去ログ - 【Fate】慎二「何やってるんだ、ライダー!!」 46ワカ目【難易度:虚淵】
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666: ◆AEs9N/Moag[saga]
2012/06/30(土) 18:58:38.61 ID:7R5uunxGo

 王よ、と。

 あの在りし日々と変わらぬ声色で、語りかけるランスロット。

 だが、彼はバーサーカーと化し、この身を攻め立てた。その筈なのだ。

 あの様では語る事などありえず――よしんばできても、こちらへの恨みか怒りか。

 そうとしか考えられないのに、語りかける声は柔らかだった。


バーサーカー(王よ……貴方と袂を分かった我が身、僭越ながら今一度のお目通りを願いたい)

バーサーカー(私は、貴方の国を、貴方の治世を壊し――貴方の心さえをも裏切った不忠者)

バーサーカー(全ての咎を負うべきは私……なれど、私はあまつさえ狂乱に身を窶し、貴方へと刃を向けた)

バーサーカー(されど、貴方はそんな私の身さえも庇って下さった)

バーサーカー(この身が王に責められこそすれ、貴方自身が貴方を苛む道理などありません)

バーサーカー(貴方は正に――――いえ、貴方こそが理想の王なのだ)


 語りかける、ランスロット。

 不思議と、周囲の時間が過ぎるのを遅く感じた。或いはこの会話は、一瞬のものなのかも知れない。


バーサーカー(王よ……もしも、この不義の身が貴方の事を『我が王』と呼べるのならば)

バーサーカー(どうか、今一度……私を、貴方と共に在らせて下さい)


 聖剣が――。

 星が鍛えた最高の剣が、既に暮れかかり始めた空を映すが如く、光を放つ。

 ランスロットの声に、呼応しているように。

 円卓の拘束が、外れていた。円卓の騎士全てが、承認していた。

 かの聖剣を、輝かせよ――と。

 戦場の徒花である剣を掲げ、鬨の声を上げよ――と。

 理想の王は、まさにここにありと示せ――――と。



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