16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/06/29(金) 22:16:10.50 ID:x1fUeowO0
文化祭でのうちのクラスが演劇だと公表された次の日
昼休み、
弁当を持たない生徒が集まる食堂で、昼飯を食べる俺の前の席に、
小さな可愛らしいお弁当を持ち、俺のことをじっと見つめる男子生徒がいた。
「何だ、何か言いたいことがあるのか?」
目がくりっとしたその男子生徒は俺の中学時代からの旧友だった。
旧友は小さな肩幅を更に縮めた。なに恥ずかしがってるんだ。
「あのさ、僕さ、劇の台本を書こうと思うんだ。劇の台本。」
何で二回言ったんだ、何てツッコミは入れないまま、俺はカレーを混ぜ始める。
「お前が?台本・・・、そういうの得意だっけか?」
カレーを口に入れる、思ったよりも熱く、水がほしくなった。
「小説とかの読み書きは好きだけど・・・、台本は今回が初めてだから、得意かどうかは・・・」
「大丈夫かよ、やれるのか?」
ゆっくり水を飲んでから、旧友に視線を向ける。
「だ、大丈夫。昨日悩んだんだけど、決めたんだっ。やりきってみせるよ。」
言っていることは力強かったが、外見はカッコいいというより可愛いらしい感じだった。
「そうか、じゃあ応援してるぞ?」
そうねぎらいの言葉をかけると、俺はすぐにカレーを口に運んだ。
「うん、ありがとう、がんばるねっ。」
目の前の旧友は、可愛らしく笑顔を作ると、
小さな弁当の包みを外し始めた。
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