48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/23(月) 23:20:27.56 ID:AOwqRaFu0
「お前のクソ女は……今は違うのか?」
「ああ。連絡先すら分からないよ」
火のついた煙草を壁に押し付ける。吸殻を地面に落として靴裏ですり潰した。
疎遠、なんてレベルの話じゃない。もう何の関わりもない。俺と彼女は無関係なんだ。そうだ、そうだろ。
彼女は理想だった。俺にとって夢見たいな存在だった。いくら手を伸ばそうとも届かないはずの存在だった。
……だからこそ、あっさりと手から滑り落ちたんだ。
そして手の届く範囲から瞬く間に離れていく彼女を、黙って見ていることしかできなくて、そんな自分が惨めで大嫌いになった。
「いつまでたっても、『憧れ』は『憧れ』だ。水面にうつる月を掴むことはできない」
「……じゃあ、あの時、テメェは何を掴んでいたんだ?」
あの時、とは、この星に帰ってきたときのことだろうか。
決まっている。
「月を掴んだつもりで、本当は水の中で溺れてたんだよ」
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