42:S・エルロイ[saga(≠sage)]
2012/07/03(火) 00:33:58.54 ID:5rYqMdO90
クルンテープの南にあるスラムの酒場──チンピラとゴロツキども御用達の店。
ディザルボが石のように硬そうな顎を動かし、力強く咥えたタバコのフィルターを噛み千切った。
二つに切れたフィルターを唾とともに吐き出す。
ディザルボは羅紗の敷かれた台に屈み、剛毛が密集した太い親指と中指でしっかりとキューを握ると白いボールをついた。
ナンバー入りのボールがいくつかポケットへと転がり落ちていく。
「それでダンの奴を殺ったのはどこのどいつなんだ?」
ディザルボに聞かれ、モヒカン刈りの男が首の後ろを撫でながら言う。
「そいつなんですがね、ディザルボさん。皆目検討がつかねえんですよ。
ダンの野郎、昨日の夜にいつものストリートチルドレン狩りに出かけていったんですがね、
それでまあ今朝になっても帰ってこねえから」
キューの先端にチョークをつけていたディザルボがモヒカンの代わりに答えてやる。
「お前が路地裏に様子を見に行ったら、転がってたのは浮浪児どもじゃなくて、仏になったダンだったんだろう」
モヒカンが首を縦に振る。
「大まかにいやあ、そういうことです」
「ダンは俺達のファミリーの一員だぜ。仇を取ってやらにゃあなるめえよ」
シルバーのシガレットケースを開けると中からタバコを取り出し、ディザルボが新しく咥える。
モヒカンが火をつけたジッポーライターをタバコの手前に差し出した。
「ダンの首には五千ギルダンの賞金がかかってやした。ディザルボさん、
もしかしたらダンを始末したのはバウンティーハンターかもしれませんや」
狼めいた灰色の瞳をモヒカンに向けて、ディザルボが煙を吐き出しながら言う。
「それならここらの賞金稼ぎどもを洗い出せ」
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