45:S・エルロイ
2012/07/03(火) 00:36:27.43 ID:5rYqMdO90
キリコが飽きもせずにスコープドックを整備する。エンジンを切り、再びかけては又切る。
ただ、黙々とスコープドックを点検し、コックピットの開け閉めをすると次は並んだ配線を見渡す。
これがキリコの日課だ。
そしてたっぷりと四時間かけ、スコープドックの整備を終えると、キリコはコーヒーを飲む為にいつものバーへと向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バーの中央にあるテーブル席には三人の男が座っていた。
ひとりはクエント人の大男で、もうひとりは擦り切れたカーキ色の外套を羽織った男、
最後のひとりは団子鼻のにやけた口元を浮かばせた赤い服の男だ。他に客の姿は見えなかった。
あとはカウンターにバーテンがひとりいるだけだ。
窓の外から覗き込み、店内の様子を窺っていたリノがドアが開きっぱなしになったバーの中へと踏み入る。
そして中古で買った三十八口径の拳銃を両手に掴み、リノが鈍色に光る銃身を持ち上げた。
リノの発した最初の一言──「お前ら金を出せっ!」
叫ぶと同時にリノがトリガーを引く。銃口から発射された弾丸がガラスのクーラーケースに当たった。
ケースのガラスを粉々に砕いた弾丸が更に奥にあるボトル棚の酒瓶まで砕く。
ウイスキーとガラスの破片が水飛沫のように舞い散った。さっさと金を出せとリノがわめく。
再び拳銃の引き金を引き絞るリノ──突然、リノの後頭部が吹き飛んだ。
「大丈夫だったか?」
バーのドアに立ち、バハウザーを構えたキリコが三人に尋ねる。
「ああ、なんてことはないぜ」
口に咥えた葉巻を振り、コブラは答えた。
54Res/59.19 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。