過去ログ - キリコとコブラでむせる
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8:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:16:12.53 ID:n3CjMYIK0

 ふたりが左右に旋回しながら、敵の銃弾を回避する。キリコの撃った数発の弾が敵の装甲を貫いた。
 ポリマーリンゲル液に引火し、一機のツヴァークが回りの仲間を巻き込んで爆破した。

 鼓膜を震わせる爆音、吹き上がる紅蓮の炎、機体の破片が岩肌に突き刺さる。ゴーグル越しにキリコは敵を見据えた。

 アルディーン──そこはもっとも地獄に近い惑星だ。コブラが、断崖から突き出た岩に向かってアサルトライフルを発砲する。
 まるでビリヤードのように跳びはねる弾丸が、二機のスタンディングトータスのタレットスコープにヒットした。
 スタンディングトータスのコックピット内で、血が派手にぶちまけられた。

 ──これで敵さんは半分に減ったな。おまけに相手は及び腰だぜ。
 敵が怯んだ隙をつき、キリコとコブラが示し合わせたように同時に動く。

 右腰に装着したミサイルランチャーをキリコが立て続けに発射し、二機を吹き飛ばすと、ターンピックを地面に打ち込み、反動を利用する。
 キリコへと追いすがるように接近するツヴァーク──顔面にアームパンチを浴びせた。

 バウンドするツヴァーク。焦げるようなモーター音──後方へと吹き飛び、ツヴァークは炎に飲み込まれた。
 ──おい、キリコ、ありゃなんだ?
 
 キリコが谷を見上げた。崖からこちらを見下ろす深紅の機体。突然、深紅の機体がこちらに攻撃をしかけてきた。
 唸りあげるロケット砲が断崖に炸裂した。瀑布の如く降り注ぐ岩盤が、残った敵の機体をスクラップにした。
 深紅の機体がキリコとコブラに向き合い、再びロケット弾を撃った。

 発射された小型ミサイルが、キリコの乗ったスコープドッグ目掛けて襲い掛かる。
 コブラがコックピットの蓋をはねあげた──ミサイルが空中で花火のように爆発した。

 キリコは見た。コブラの左腕を。そこに腕はなく、肘から先にあったものは銃だった。
 キリコは動揺した。それは深紅の機体も同じだった。身を翻し、深紅の機体がふたりの前から姿を消す。
 「なるほど。奴がサラマンダーか」

 コブラが葉巻を咥えた。
 「コブラ、引き返すぞ」
 銃撃戦を聞きつけた敵の傭兵がこちらに群がってくるのがわかった。あいよと返事をし、コブラがコックピットの蓋をしめる。
 それからふたりは森の奥へと戻った。




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