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2012/07/07(土) 22:13:16.93 ID:te0lhLqD0
昼休み
黒辻「やっと終わったわー。全く創設祭のことで昼休みの半分も使って話し合いするなんて。余った時間は保健室で昼寝でもしたいっていうのに」
橘「…創設祭実行委員長の絢辻さんが自分でこの日にスケジュールを立ててたんだよ。それから、保健室は別にただの寝るとこじゃないよ」
黒辻「さっきの体育で疲れたのよ。はあ、あの猫被り女もこんな『自分一人でやるわ!』みたいなスケジュール立てるなんて。全校生徒と教師達をフルに使えばこんなキツキツのスケジュールにならないってのに」
橘「…まるで他人事のように言うんだね。君と絢辻さんとで一体何が違うの?」
黒辻「私にも今のこの自分が何なのかわからないわ。『私』がちゃんと自我、意識を持つようになったのもここ最近、キビトランドでのデートのときくらいからよ」
橘(あの、河原で現れたときじゃないのか)
黒辻「ただこれだけは言える。私はあの猫被り女とは違う存在よ。勿論、怖がり絢辻とも違う」
橘「怖がり絢辻さんっていうと、昨日夕食を作ってくれたり、僕と美也に勉強を教えてくれた絢辻さんのこと?」
黒辻「そうよ。っていうか、『絢辻』だと猫被り女とややこしいから怖がりの方は『白辻』って私は呼ばせてもらう。」
橘「う、うん」
黒辻「さっきも話した通り、私はここ最近になって存在するようになった。そして、私はあんたも知ってる人前ではいい顔して、裏では一人で文句を垂れたり、ゴミ箱に八つ当たりしたり、自分の不満を黒い手帳に書き殴る『絢辻』とは違う。まあ、手帳はあいつ自身があんたの前で燃やしたけど」
橘「あの手帳、そんなことが書かれてたんだ」
黒辻「あの文句、直接言えばいいって言うのに。話を戻すわ。『絢辻』、『白辻』とは違うけど、二人の言動、『絢辻』のそのとき思ったことの記憶はあるの。尤も、『絢辻』の記憶は全部知ってるわけじゃない。さっき言った手帳とか、彼女の負の記憶に関したことだけ覚えてるの。ま、『絢辻』自身はほとんどが日常のほとんどが負の記憶ばっかりだったわ。しかも小さな頃からね。あそこまで負の記憶で一杯だと楽しいって思えたことなんて、ないんじゃないかしら」
橘(絢辻さん…そこまで君は一人で悩んで、抱えて、日常を送ってきたんだ。僕は君の傍にいてどうして、気付けなかったんだ)
黒辻「まあ、創設祭実行委員の仕事をするようになってからは少し『絢辻』の負の記憶が少なくなってたかな。いや、あんたが創設祭の準備を手伝うようになってからか。私の話はこれで終わりよ。早くこのプリントを先生に私に行くわよ。」
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