過去ログ - 天井亜雄「今は……いつなんだ?」
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17: ◆WWqRalPcWM[saga]
2012/07/02(月) 12:21:06.10 ID:3f2C3mCo0


天井「…………」

深夜の研究室。
クローニング部門でも新参である天井は事務処理を請け負うと称して一人残業している。
つるりとした実験台の上に、書類仕事には不必要な実験器具。

培養した細胞株を並べ、試料のアンプルを折る。
かちかちとガラスが鳴っている。

天井「っ、ふざけた実験室だ、窓の建付けもなっていないのか!」

器具を繰る自身の手が震えていることに気が付かない。

かちり。
一際大きくスポイトの先がぶれ、シャーレのへりを伝い液体が落ちる。

天井「あ…………うあぁぁ……っ!!」

しずくを受けたゼラチンがじわりと赤く染まる。
成功を示すその色は何故か流れ出る血液を思わせ、静かに円形に広がっていった。


「成長促進剤を使用した際の遺伝子欠損の低減について」。
それは、あの記憶の中で自身が纏めた研究だ。
着手から完成に14ヶ月を費やし、天井がクローニング研究で一定の地位を築くきっかけとなるはずのもの。
その全てを天井は既に知っていた。

きっと他の理論も正しいのだろう。
細胞分裂速度のコントロールによる先天異常の発生防止。
学習装置の使用を前提とした脳の均一化。

服の背に泥を投げ込まれたような心地がする。
機材とDNAマップさえ揃えば天井は今すぐにでもあの忌々しいクローンを量産できる。
年単位で先の技術を知っているなど、もはや偶然でもオカルトでも済まなかった。

天井「ど、どうすれば良い。どうすればあの結果を避けられる」

記憶よりも早く研究を実証できているのだから、あれは予知の類ではないのだろう。
同じ過程さえ辿らなければ結末は変わるかもしれない。


今後の方針>>+2
※大まかでも具体的でも





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