過去ログ - 天井亜雄「今は……いつなんだ?」
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24: ◆WWqRalPcWM[saga]
2012/07/02(月) 13:54:21.28 ID:3f2C3mCo0
天井「そうだ……借金さえ、借金さえなければ!」
実験台に拳を叩き付けた衝撃で、赤い細胞株がふるりと揺れた。
それをシャーレごと引っ掴み薬剤の中和の後、焼却処分する。
天井「あの計画にさえ手を付けなければ良い! あれが実施直前に頓挫などしなければ、余計な辛苦も負わなかったのだから!」
記憶の中では功を急ぐあまり「樹形図の設計者」の演算を待たずに計画を強行し、自分の首を絞めてしまった。
大成したいという願望など死の恐怖に比べれば塵に等しい。
それに研究面とて手堅く進める方向にするだけだ。
天井「ふん……記憶の中にある研究は実用化しない方が良いのだろうか」
自身が立案しなくても、腕を見込んで似たような計画を持ちかけられるかもしれない。
責任者さえにならなければ大丈夫だろうか。
しかしスケープゴートとして招集された布束の例もある。
がちゃがちゃと、しかし破損しないように器具を片付けながら思案する。
ひとまず超能力者のクローニングから最大限に距離を取りたい。
しかし自身の職能を考えればクローン研究者として生きていくしかなかった。
天井「第三位のDNAマップが流出している以上、この研究を続ければいずれ――」
ぼさぼさの髪を掻き毟り実験室を辞した。
センサーが人体を感知し、ぽん、と廊下に明かりが灯る。
「複製医療第二実験室」のプレートがちかりと目に飛び込んだ。
同じクローンでも、分野によってその形態は異なる。
因縁の軍用クローンの場合、当然兵として投入できる人間形のクローニングが求められる。
能力研究の素体用なら突き詰めれば脳のみに集約される。
逆に医療用のものだと、破損部位を補うための各パーツがあれば良いのだ。
公的には人体の複製が禁じられていることもあり、腕だけ、臓器1つだけを培養する研究が盛んに行われている。
天井「二重の隠れ蓑、か。それなら立場的にもやりやすいかもしれない」
この部署では、医療用のクローン研究を建前に能力者を複製する技術を追っている。
逆に言えば、外向けに売り込む医療分野で一定の利益を上げられれば、研究所としても天井を切るのは難しい。
例え能力研究としては重要でない腕や脚ばかり培養槽に並べていても、だ。
天井「まぁ始めからそれでは拙いな。『遺伝子欠損の低減』は頃合いを見て発表するとして……」
あのマンションで目覚めて以降一番に足取りが軽い。
心情としてはまさに首が繋がったような思いで、天井は今後の算段を立てるのだった。
・医療用クローニング分野でどれくらい頑張るか>>+2
※参考:
(うっかりクビになるくらい)
↑
手抜き
↑
|
↓
頑張る
↓
(未来知識で他人の研究をパクる勢い)
・しばし離脱します
ついでに今後の方針を妄想してくるので後で安価だけ増やすかもしれません
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