過去ログ - 天井亜雄「今は……いつなんだ?」
↓ 1- 覧 板 20
984: ◆WWqRalPcWM[saga]
2012/07/25(水) 16:39:58.93 ID:/UdDDZMM0
>>979 指摘ありがとう、脱がした
天井「木原、幻生……か……」
珍しく湯を張った風呂場で、天井はぐったりと湯船の縁から腕を垂らした。
温度は高め。
浴場における健康法には詳しくないので、特に半身浴などでもなくたっぷりと溜められている。
手には耐水加工のPDAが握られ、PCから移したいくつかのサイトの記述が湯気の中に浮かび上がっていた。
天井「堂々と研究している――どころか大層な肩書きではないか」
先進教育局、木原研究所所長。
胤河製薬、特別顧問。
鎚原病院、木原研究室教授。
そんな漢字だらけの身元証明はまだ続いている。
これらの施設の名を負って発表されている研究はどれもまともで、また多くの研究者から引用されている目覚ましいもののようだ。
天井(つまり立場にあかせて裏の実験を行うタイプ、か)
この成果のうちいくつが、非合法の予備実験に支えられているだろう。
ぴちゃん、と水滴が肩に落ちた。
絶対能力進化実験に携わっていた記憶の中の天井は、天井亜雄という研究者としてのネーム自体が裏側に沈んでいた。
表で権威を得ながら裏に手を染めるというのは、完全に裏に居るよりも気を回すことが多く、煩わしい面もあるだろう。
だが大掛かりなことをするなら設備を用意するだけの資金、隠蔽するだけの権力と役に立つはずだ。
天井「……ん?」
来歴、所属をスクロールさせていく。
そこにはあるべき、現所属が欠けていた。
天井「随分歳のようだし、引退、か?」
どこの記述を見ても没年は書かれていない。
既に研究活動を止めているということか。
確かにこれでは研究者としてコンタクトを取ることもできない。
木山や冥土帰しが実験記録の入手で行き詰まっているというのはそのせいだろう。
ぴちゃん。
今度は湯の表面に落ちた雫が、静かに同心円を描いた。
・誰得
1002Res/492.41 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。