401:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/07/19(木) 19:10:55.26 ID:Ph/g44PD0
家に着いたのは午後七時十分前。もう空には夕日の残影すら残らず、黒に限りなく近い濃紺の夜が落ちていた。
僕は先に二人を車から下ろして、駐車スペースにメルセデスを入れようとするつもりだった。のだが、既に駐車スペースには先客がいた。
綾野「うわ、高そうなスポーツカー……あれもこういっちゃんの?」
恒一「そんなわけないよ。僕のはこれ一台きりだ」
銀色のポルシェ・ボクスター。少なくとも僕が学校に行っている間に妻がこの車を買ったとは思えないし、ポルシェなど彼女の柄ではない。と言うよりも、メルセデスですら珍しい部類の車に入る夜見山界隈ではこんな車を乗り回す人間など一人しかいない。
恒一「あのポルシェは赤沢さんの車だ」
桜木「あ、やっぱりでしたか。そんな気はしてました」
さすが親友。桜木さんは赤沢さんの趣味はお見通しのようだ。
綾野「でもらしいっちゃらしいけどね。ポルシェなんて」
恒一「どこかに停めてきてくれとは云ったが、わざわざこんな場所に停めるなよな」
そう毒づいてはみたもののそれでポルシェが勝手にどいてくれるわけでもなく、仕方なしに路上駐車状態でメルセデスを停車させる。幸いにしてこの道路は見崎の家までの狭小路地と異なって広々とした道だ。メルセデスと言えどかわそうと思えばいくらでもかわせるはずだ。
綾野「こういっちゃんの家にお邪魔するのって、なにげに初めてじゃない?」
門柱をくぐったところで綾野さんが呟く。
恒一「車の中で待たせるのも悪いからね。それに二人共うちの嫁や対策係さまにも一度合わせて話しておきたいから」
桜木「泉美、どんなふうになってるんでしょうか」
恒一「県警で今も対策係やってるよ。相手は『現象』じゃなく密輸業者らしいけど」
また背後で泉美らしい。という声が上がる。どうやら赤沢さんは何年たってもどこまで行ってもやはり赤沢さんのままのようだ。
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