169:猫宮[saga]
2013/02/16(土) 18:39:46.07 ID:KxXneJhK0
「もうすぐ本番なのに、そんな調子でどうするんだよ……」
流石の律さんも心配そうに澪さんに声を掛ける。
長い付き合いだけど、律さんもまさか澪さんがまだこんなに動揺してるなんて思ってなかったんだろうな。
特に律さんにとっても初ライブなわけだから、澪さんのこういう反応も初めてで戸惑ってるんだと思う。
律さんだってライブは初体験なんだもんね……。
「もうやだ……」
瞳を俯かせたまま、澪さんが不意に呟いた。
かと思ったら、必死の形相で胸の前で手を合わせて激しく続ける。
「律、私とボーカル変わって!」
「そしたら、ドラムどうするんだよ……」
「私がやるから!」
「んじゃ、ベースどうするんだよ?」
「それも私がやるから!」
「やってもらおうか! 逆に見てみたいわ!」
「律、律ぅ……」
「離せってばー!」
最後には澪さんが座る律さんの膝に縋り付こうとしていた。
その澪さんの頭を律さんが片手で押し退ける。
何、この夫婦漫才……。
とは思ったけど、それだけ澪さんも必死だって事なんだろう。
流石にここまで動揺するとは思わないけど、私だって凄く胸がドキドキしてる。
軽音楽部の皆さんのライブを間近にして、本当は大声で叫び出してしまいたいくらい。
隣に憂ちゃんが居るから、必死に我慢してるだけで。
澪さんの場合、人より少しだけ臆病なだけなんだよね。
怖さや不安を素直に表現出来てるだけなんだよね……。
そんな澪さんの姿は決して悪くないと思う。
同時にちょっと羨ましくもなった。
澪さんには律さんっていう感情を素直に表現していい相手が居るって事が。
泣き付いてもいい相手が居るって事が。
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