過去ログ - 梓「サナララ」
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251:猫宮[saga]
2013/03/23(土) 20:24:15.68 ID:CHpNig7n0
「『頑張りたいな、』じゃないでしょ、憂。
一緒に頑張ろうよ、皆と、私と。
それが約束を果たすって事だと思うしね」


「うん、そうだね。
一緒に頑張ろう、梓ちゃん。
それと私、一ついい事を思い付いたんだけど、聞いてくれる?」


「いいよ、何?」


「梓ちゃんがその約束をした誰か……、私って事にしない?
だって、私も梓ちゃんも誰かとの約束で緊張してたなんて、凄い偶然だよ?
だから、勿論そんな事は無いと思うけど、
いつか約束した二人は私達だったって事にしちゃおう?
その方が楽しんで学園祭のライブに臨めるって、私、そう思うんだ」


「憂も変な事考えるよね……。
でも、いいよね、それ。
うん、折角だし、そういう事にしちゃおう。
それなら緊張する必要なんて全然無くなるし、それにもしまた緊張して来たら……」


「『サナララ』……だよね?」


「うん、『サナララ』を合言葉にしちゃおう。
はっきり憶えてない約束と適当な偶然から生まれた『サナララ』って言葉。
不思議で何だか笑えちゃって、緊張なんか何処かに行っちゃいそうだしね」


「うん、不思議だね。不思議で素敵だよね。
不思議で素敵なライブにしたいよね、今度の学園祭。

……何だか私、またすぐに皆と練習したくなって来ちゃったな」


「私も、だよ、憂。
そのためにも純との待ち合わせ場所に急がなきゃね」


「……うんっ!」


私達は倉庫の壁の落書きにとりあえずの別れを告げて、二人で足を踏み出して行く。
公園にちょっと長居しちゃったから、純はきっと待ちくたびれているんじゃないかな。
私と憂はどちらともなくお互いの手を握って、気が付いた時には走り出していた。
緊張を忘れる事は出来ないだろうけど、今はその緊張がとても心地良い。

もうすぐ私達の高校最後の学園祭が始まる。
憶えてないいつか、誰かと待ち望んでたかもしれないライブ。
その約束の日、出来る限り最高の演奏をしてみせたい。

公園の中に秋の風が吹く。
肌寒さを感じ始める秋口の風。
だけど、私は風の肌寒さなんて感じない。
手のひらに憂の体温を。
心に思い出や約束を。
たくさんの大切な物を抱いて、前に進んで行ける気がするから。
だから、願わくは今度のライブが終わっても、皆や憂と大切な友達で居られるように――






――精一杯、皆と音楽を頑張っていこう!


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