過去ログ - 梓「サナララ」
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3:猫宮[saga]
2012/07/05(木) 18:26:27.21 ID:ffqtBWew0
夏休みに入って以来、私はギターを弾いてない。
受験勉強のために練習を中断したのに、あの子と距離を置いたのに、
それでもギターを弾くなんて、色んな意味で裏切りに思えて仕方が無かったから。
私達はただ中断してるだけ。
受験が終わればまた音楽を続けられる。
そう信じられるために、私は部屋の隅に置いたギターに視線を向ける事も避けるようになっていた。
だから、私は今はあまりギターを弾きたくない。
弾くのが……怖い……。
ギターを弾いていて孤独を感じて、ギターを嫌いになりたくないから……。

私が見つめていた事に気付いたのか、
カチューシャをしたボーイッシュな人が私の方に視線を向けた。
一瞬、私達の視線が交錯する。
まじまじと見つめるなんて、失礼な事をしてしまったかもしれない。
私は自分の顔が少し熱くなるのを感じながらも、その人に軽く会釈して公園の倉庫の裏手に回る。
別に公園の倉庫の裏手に行きたかったわけじゃない。
そこしかその人の目から逃げられる場所が見つからなかっただけだった。
そんな事をするくらいなら、公園から出て行けばいい……。
自分でも分かっていたけど、私には何故かそれが出来なかった。
何故だかここから離れちゃいけない気がしてるんだよね……。

大体、アウトドア派でもないのに、どうして私は公園に来てるんだろう?
特に外出する用事も無かったはずなんだけど……。
外の空気が恋しくなったってわけでもないし……。
喉が乾いたから、ジュースでも買いに行きたかったんだっけ……?
って、今お金持ってないじゃない、私……。
分からない……。
家で勉強をしていたら、気が付けば本当に衝動的に私はこの公園まで来てた。
テレパシーか何かで誰かに呼ばれたんだろうか?
前世から運命で繋がった光の戦士に……とか……?
まさかね……、そんなオカルトやファンタジーじゃあるまいし……。
そうやって自分の中学生らしい空想に自分で苦笑して、肩を竦めた瞬間、


「あのー……」


「ふにゃっ!」


唐突に後ろから声を掛けられて、私は変な声を出してしまった。
自分で出した声ながら、「ふにゃっ!」って何よ、私……。
そんな事だから「梓って猫っぽいよね」とか言われちゃうのよ、私……。
ううん、そんな事よりも……。


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