過去ログ - 梓「サナララ」
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33:猫宮[saga]
2012/08/12(日) 18:22:22.68 ID:c6PyoOrH0
「それは私も困るかも……。
期限は別に詳しく決まってるわけじゃないんだけど、
多分、大体一週間くらいじゃないかって前の『ナビゲーター』の人が言ってたよ。
期限を過ぎても大丈夫かって試す人も居なかったみたいだから、
期限については詳しい事は分からないみたいなんだ。
私もね、『ナビゲーター』の人と会ってから六日目にお願いを決めたんだよ」


一週間……。
妥当な期限だろうと思う。
自分のお願いについて考えるには丁度いい時間だし、
逆に一週間過ぎても決められなかったら、どれだけ経ってもお願いなんて決められない気がする。
そんなに長く考えてお願いを決められないなんて、
それこそ『一生に一度のお願いを叶える資格が無かった人』だと思う。

私はまた頷いてから、平沢さんの手を取って口を開いた。


「うん、ありがとう、平沢さん。
これから一週間ずっと……ってわけじゃないけど、
私の一生に一度のお願いについて真剣に考えてみる。
あのね、それで……」


「うん、どうしても難しいみたいだったら私が相談に乗るよ、梓ちゃん。
私も前の『ナビゲーター』の人にお願いを探す手伝いをしてもらったんだ。
だからね……、私じゃあんまり役に立たないかもしれないけど、
梓ちゃんのお願いを見つけるお手伝いをさせてくれたら嬉しいな」


「そんな事ないよ、ありがとう、平沢さん。
じゃあ、平沢さんの連絡先を教えてもらっていい?
何かあったら連絡を……」


「あっ!」


「ど……、どうしたの、平沢さん?」


「ごめんね、梓ちゃん。
私、一つ大切な事を伝えるの忘れてたみたい。
梓ちゃんが私の話す事を信じてくれたから、もう一つシステムがある事を忘れちゃってた」


「もう一つのシステム……?」


「うん、『チャンスシステム』をどうしても信じられない人のためのシステムがあるの。
それはね、『お試しお願い』……。
何でもってわけじゃないんだけど、
一生に一度のお願い以外に、もう一つだけお試しでお願いを叶えてもらえるんだよ」


『お試しお願い』。
確かに『チャンスシステム』を信じられない人を信じさせるためには、一番の方法だろう。
口で言っても分からない人には、直接体験させてあげるのが一番だ。
とても合理的なシステムだ。
……なんだけど、これはまた妙に世知辛システムと言うか何と言うか……。
神様なのかどうか知らないけど、お願いを叶えてくれる誰かも色々苦労してるんだなあ……。

でも、実際の所、私には特に必要無いシステムだった。
平沢さんの人柄のおかげか、私はもうチャンスシステムの事を信じてるもんね。
今更、平沢さんの今までの言葉を試すような事はあんまりしたくない。
そう思って私が首を横に振ろうとした瞬間、平沢さんが微笑んで私の手を取った。
穏やかな口振りで続けてくれる。


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