過去ログ - 梓「サナララ」
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34:猫宮[saga]
2012/08/12(日) 18:29:20.04 ID:c6PyoOrH0
「私を信じてくれるのは嬉しいけど、『お試しお願い』を使った方がいいよ、梓ちゃん。
『お試しお願い』を使っても何の損も無いし、折角だから……ね?
あ、心配しなくても大丈夫だよ?
何をお願いしたのかは、『ナビゲーター』の私にも分からないようになってるんだ。
一週間くらいで効力も切れるらしいから、軽い気持ちでお願いしてみて。
それが『一生に一度のお願い』を決めるきっかけになるかもしれないし……」


そこまで言われて、断る理由も無かった。
何の損も無いみたいだし、軽い気持ちでお試ししてみるのもいいかもしれない。
すぐには思い付かないけど、そうだなあ……、
好物の鯛焼きを沢山お願いしてみるって言うのも素敵かもしれない。
……って、流石にそれはお試しとは言え、勿体無いかな?

瞬間、私は平沢さんの瞳を見つめながら、一つの事を思った。
そうだよね……。
鯛焼きもいいけど、折角ならこういう事でしか叶えられないお願いの方がいいよね。
例えば、そう……。
私は決心して、平沢さんに静かに頷き掛けた。


「うん……、分かった。
じゃあ、一つ試してほしいお願いがあるんだ。
叶えてもらっていいかな、平沢さん?
……って、どうやったら叶えてもらえるのかはよく分からないんだけどね」


「あ、それは簡単だよ、梓ちゃん。
お願いを強く心に思い描いててくれる?
それで私が梓ちゃんと私のおでこを合わせるとお願いが叶うようになってるんだよ」


「また変わったお願いの叶え方だね……。
でも、分かったよ、平沢さん。
ちょっと待っててね」


そう言った後、私は前髪を右手で掻き上げた。
それから、平沢さんと軽く見つめ合う。
……何だかキスする直前みたい。
私はちょっと恥ずかしくなったけど、
平沢さんは何も気にしてないみたいにゆっくりと目を瞑った。


「じゃあ……、行くね?」


私が上擦った声で呟くと、平沢さんは目を瞑ったまま頷いてくれた。
緊張する自分に気付きながらも、
私は一つのお願いを強く胸に抱いて、平沢さんと軽くおでこを合わせた。
私は知りたいんだって強く願いながら……。

どれくらい経ったんだろう。
多分、おでこを合わせて十秒くらい経ってから、平沢さんが急に目を開いた。
私からおでこを離してから、静かに微笑んでくれた。


「うん、これで『お試しお願い』が叶ったはずだよ、梓ちゃん。
どんなお願いなのかは私には分からないから、
叶ったかどうか梓ちゃん自身に確かめてもらっていい?」


「う、うん……」


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