39:猫宮[saga]
2012/09/01(土) 19:02:14.40 ID:hnzHRHEQ0
▽
突然の状況に私が動揺している事に平沢さんも気付いたらしい。
平沢さんは心配そうな表情で私の顔を覗き込んで、私に訊ねていた。
「梓ちゃん、大丈夫……?
『お試しお願い』、叶ったんだよね……?」
「そ……、そうだと思うんだけど……」
それ以上の事は私にも言えなかった。
確かな事は何も分からない。
何せ私の想像していた状況と全然違ってるんだもん。
私は『平沢さんの事をもっとよく知りたい』ってお願いをした。
どんな環境で生きて来たら、平沢さんみたいな素直で優しい子になるのか。
それを知りたかった。
だから、私はてっきりこの『お試しお願い』が叶ったら、
平沢さんの思い出か情報が頭の中に突然流れ込んで来るとか、
家に帰ったら誰がまとめたのか分からない平沢さんについてのレポートが置いてあったりとか、
そんなちょっと安っぽいSFみたいな状況になる物だとばかり思っていた。
むしろ、そうなる事こそ望んでいたのに……。
なのに、これは一体全体どういう事なんだろう。
まだ律さんと澪さんの様子を確認しただけだから分からないけど、
この調子だと私も平沢さんと同じく『石ころ帽子』を被った状態になっているんだろう。
それは後で確かめられる事だし、後で確かめればいい事だとして、
どうして私の『お試しお願い』がこんな形で叶ってしまったかって事の方がどうしても気になった。
平沢さんに失礼かもしれない、と頭の片隅で思いながらも、気付けば私は平沢さんに訊ねていた。
「ねえ、平沢さん……。
平沢さんの『一生に一度のお願い』って何をお願いしたの?
よかったら教えてくれない?」
「えっ、どうしたの、突然……?」
「お願いってどんな形で叶うものなのかなって思って……。
だって、こんな……、ううん、ごめんね、平沢さん。
人の『一生に一度のお願い』を聞くのなんて失礼だよね。
ごめん、ちょっとびっくりしちゃって……」
「う、ううん、梓ちゃんが悪いわけじゃないよ。
でも、梓ちゃんがそう言うって事は、
『お試しお願い』が想像してた事と違った形で叶ったって事なんだよね……?
私も何となくそれは気付いてたんだ。
だって、律さんと澪さんがさっきから急に梓ちゃんの方を見なくなったんだもん。
「ツインテールの子はいつの間にか居なくなっちゃってた」って律さんも言ってたし……。
って事は、梓ちゃんも『石ころ帽子』を被った状態になっちゃったって事でしょ?」
259Res/446.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。