85:猫宮[saga]
2012/09/27(木) 19:29:15.66 ID:AH/IXcO20
って、妬けちゃう……?
私が?
自分で考えた事ながら、その想像は私を結構動揺させた。
こう言うのも何だけど、私は友達を作るのがかなり下手糞だと思う。
あの子とだって仲良くなれ始めたのは、出会って二ヶ月くらい経ってからだった。
別に人間嫌いだってわけじゃないけど、それくらい付き合わないと友達になれない性格だと思う。
我ながら、可愛げが全然無くて嫌になるよね……。
そんな私がいつの間にか憂ちゃんに妬いちゃってるなんて……。
それだけ憂ちゃんが優しくて魅力的な子だって事なんだろうけど、何となく気恥ずかしいなあ……。
私は自分の顔が熱くなるのを自分で誤魔化して咳払いをすると、軽く話を逸らしてみる。
「そう言えば、憂ちゃん。
キャサリンさん……って名前は何なの?
さわ子先生……だったっけ。
ひょっとして、あの先生がキャサリンとしか名乗らなかったとか?」
「うん、そうなんだ。
私がどれだけ聞いてもキャサリンって名前しか教えてくれなくて、
何歳なのかも普段何をしている人なのかも教えてくれなかったんだ。
私と会ってくれてる時はさっきみたいなスーツじゃなくて、
もっと派手なバンドを組んでる人達みたいな服装だったから、
そういう音楽関係の人なんだって思ってたんだけど、音楽の先生だったんだね」
「それは……、よくそんな人を信じたね、憂ちゃん……。
怪し過ぎるでしょ、そんな人……」
私が若干呆れた表情を浮かべて言ってみたけど、
憂ちゃんは気を悪くした風も無くまた笑顔を見せてくれた。
キャサリンさんの言動が怪しいとは、憂ちゃん自身も思ってた事だったんだろう。
それでも、憂ちゃんはキャサリンさんを信じる事に決めたんだ。
どうしてなんだろう?
何で憂ちゃんはそんな怪しい人を心から信じられたんだろう?
私の考えていた事が分かったみたいで、憂ちゃんが話を続けてくれた。
それは憂ちゃんがキャサリンさんとの思い出を誰かに話したかったからでもあるんだろうけど、
私が私のお願いを見つけられるための手助けになれば、って考えて話してくれているようにも見えた。
「キャサリンさんって、確かにちょっと一見すると怪しい人だよね……。
でも、プールで出会って、お話をしていて思ったんだよ。
キャサリンさんは本気で私のお願いの事を考えてくれてるんだ、って。
キャサリンさんは私の話を真剣に聞いてくれたし、
『チャンスシステム』についてもちゃんと説明してくれたし、
私の『一生に一度のお願い』の事も一緒になって考えてくれたんだもん。
誰かの事を真剣に考えられる人なんだ、って思ったんだ……。
それにね……」
「それに……?」
「私が最初にキャサリンさんの事を信じられたのは、
キャサリンさんが叶えた『お試しお願い』の事を最初に教えてくれたからなんだ。
ううん、それだけじゃないよ。
『一生に一度のお願い』の方も最後の最後、私のお願いを決める直前に教えてくれたの。
私ね、これって凄い事だと思うんだ。
だって、自分のお願いって、自分の夢と同じでしょ?
そんな自分のお願いを言葉にして誰かに話すのなんて、すっごく難しい事だと思うんだ。
出来そうで出来る事じゃないと思うな……。
それなのにキャサリンさんは自分のお願いを教えてくれたんだよ。
だからね、私はキャサリンさんの事が信じられるって思ったんだ」
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