過去ログ - P「無題」
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10:バッコス ◆rEnZuhXifY
2012/07/07(土) 19:00:21.63 ID:kzeDDsvEo
「新しいプロデューサーは入ったのか?」

俺はあえて聞いた。
入っていないことを知りながら。

「いえ……今は社長にもプロデュースにまわってもらってカバーしています」

「そうか、すまないな。俺が辞めたせいで」

俺は白々しく言い放った。
その言葉に律子は眉をひそめる。
瞳の奥で炎が揺らめくのが見えた。

「ところで、今は何をしてらっしゃるんですか?」

「普通に事務仕事だよ。給料は前と同じくらいで定時に帰れるんだから、時給換算したら大幅アップだな」

「……」

「765プロの労働環境は良くなったか?」

「……いいえ」

律子の声は冷ややかだった。
しかし、表情から怒りが見て取れた。
肩を震わせ、手をきつく握りしめている。
若いなと思った。

「社長も懲りないな。やっぱりしかるべき機関に相談したほうが良かったのかな?」

俺は辞める理由に労働環境の劣悪さを挙げた。
おかげで辞表はすぐに受理された。
765プロは人件費を抑えることでなんとかやっているため、目を付けられたらおしまいだからだ。

「律子も早く辞めたほうがいいぞ」

「……私は765プロが好きですから」

「……」

「それに、私は、自分の仕事に誇りを持っていますから」

律子は俺を蔑むような目で見た。
俺はその目つきが嫌いだった。
その目を見ていると自分の無能さを指摘されているようでいつも劣等感を感じた。

「……」

「……」

2人の間に硬質な沈黙が流れる。
嫌な時間だ。

先に耐えられなくなったのは俺のほうだった。

「律子はこれからどこへ行くんだ?」

「ちょっとテレビ局に」

「……」




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