過去ログ - 【まどか☆マギカRPG】宇宙魔法少女キョウコ☆マギカ【２～魔法少女訓練編】 -SS速報VIP

過去ログ - 【まどか☆マギカRPG】宇宙魔法少女キョウコ☆マギカ【２～魔法少女訓練編】

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618: ◆Rf40X2USO7Yr[saga ]
2012/07/19(木) 22:34:08.37 ID:Mj561TPAO
［サクラ・シティ～地下書庫　十日目］

　なんだってこの世界は、こんなガキに、辛い思いを味わわせずにはおかないのだろう。スクリーンに流れる映像も、書庫の中で読む物語も、本当にアタシたちが忌まわしいと思うもの、できれば自分の身には振りかかってほしくないと思うものからは、目を逸らせるようにできている。誰かの手でこしらえあげたものなんて、しょせんそんなものだ。真実まで届かないのは、そいつらが優しいからだろうと卑怯だからだろうと、そんなことは関係ない。

　本当につらいのは、この世界では残酷なことや悲しいことが、アタシたちにはわけもわからないままに平気で起こるということだ。そのことをアタシは、自分自身の身にしみて分かっていたはずなのに、ユマがアタシの近くにいると、もう一度目の前で、どうしようもなく思い知らされる気がした。

　アタシはユマに優しい言葉なんてかけてやらなかった。そんなことをしたら、自分自身が弱くなってしまうような気がしたからだ。一度だけ、どうしても我慢ができなくなってアタシは、ユマに向かって説教することになった。この世はそういうもんだ、仕方がないんだ、自分一人で生きていけるようになれ、と。

　半分アタシ自身に言っていたのかもしれない。アタシのその信条が、ユマと出会ったことで、自分が弱くなることを心配するくらいには、揺らいでいたからだ。

　ユマはアタシの説教を聞いて、内容に納得できたようには見えなかった。口答えする代わりに、ユマの眼にはこらえてもあふれそうになる涙がじわりと浮かんだ。それ以上強く言うことも、自分の向けた厳しい言葉を撤回することもできなかったアタシは、黙ってその場を立ち去った。しばらくして、どうしても様子が気になったアタシは、菓子パンを手にしてユマのところに引き返して行った。

　ユマはまだ一人でぼーっとしていた。

「ほれ」

　アタシが持って来たパンを差し出すと、ユマは驚いてこちらを見上げ、それからパンを受け取って頬張り始めた。

「がっついてんな、お前」

　アタシは半ば呆れながら言った。

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