過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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13: ◆YHxtVKAHbw[sage saga]
2012/07/17(火) 21:59:23.47 ID:R5rxtn7yo
『ありす+』イベント会場は、メルル等のアニメのイベントとは趣が全く異なっていた。
 一言で言うと、展示会だ。
 デモとしてゲームの体験版をモニタに映し出し、関連書籍やグッズの紹介や販売をしている、そのようなブースが発売タイトル毎に設置され、パーテーションで区切られていた。


 桐乃たちは直ぐに見付かった。
 遠目で見ても分かる暗い表情の桐乃、必死に元気付けようとしている沙織、難しい顔をしている黒猫。


 ──こりゃ重症だな。


 黒猫と目が合った。
 驚いた表情で目を大きく見開き、そして桐乃の肩を軽く叩いて俺を指差す。
 ゆっくり面を上げ、黒猫が指し示す方向に視線を向ける桐乃。
 何が起きたのか分からないと言いたげな顔になり、何度も目を瞬いて俺を見る。
 徐々にその目に涙が浮かび──

「京介──ッ!!」


 信じられない事態に俺の思考は完全にストップしていた。
 あの桐乃が泣きながら俺の胸に飛び込んでくるなんて想定外にも程がある。


「いやー、仲良き事は美しきかな、でござるよ」

 うんうんと頷く沙織。

「落ち込んでいる妹に駆けつける兄、その兄に泣きつく妹。とんだシスコンとブラコンね」

 一方、黒猫は呆れていた。


 混乱しつつも兄貴の習性なのだろう、俺は無意識のうちに泣きじゃくっている桐乃の頭を撫でていた。

「京介氏、きりりん氏。ここだと人目に付きますから場所を変えましょうぞ?」
「あ、ああ。桐乃、歩けるか?」

 桐乃はしゃくり上げながら頷いた。


 イベント会場から廊下に出て、自販機の前の長椅子に桐乃を座らせる。
 自販機で適当に選んだジュースを買い、プルタブを開けて桐乃の手に握らせ、俺はその隣に座った。

「……だけどなあ、桐乃。今回はお前も悪いんだぞ。どうしても俺がいないといけなかったその理由さえ言ってくれてたら先約だってキャンセルしてたかもしれないんだぜ」

 もし赤城の用件を前もって知っていたら桐乃の理由がなんであろうとキャンセルしていただろうがな。
 というわけで、赤城は明日絶対殺す。

「ウン……ゴメン……」

 素直に謝る桐乃。
 そうか、黒猫や沙織ではダメで、やっぱり俺でないといけない“何か”があったんだな。
 俺は苦笑しながら、ぽんと桐乃の頭に手を乗せた。
 桐乃はしばらく大人しくしていたが、ぐしぐしと目をこすり──
 バシッ。
 俺の手を払い除け、顔を上げた。
 さっきまでの泣き虫の面影は全く無く、不敵な視線で俺を射抜く。

「いつまで妹の頭に手を乗せてんの? シスコンキモ」


 ……復活しやがった。
 桐乃は俺が買ってやったジュースを一気に飲み干し、空き缶をゴミ箱に投げ入れ立ち上がる。
 そして、俺の手を取ると歩き出した。

「ちょっ! どこに行くんだよ!?」
「いいから黙ってついて来なさい!」


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