過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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18:10レス目訂正 ◆YHxtVKAHbw[sage saga]
2012/07/17(火) 22:05:42.25 ID:R5rxtn7yo
 俺は大きく息を吐き、桐乃の頭に手を乗せて、

「まあ、今回は悪いけど諦めてくれ。この埋め合わせはするから」

 そもそも、人の予定を無視する相手に埋め合わせするのもおかしな話なんだがな。
 こういう場合もいつもなら大きくかぶりを振ったりするか俺の手を払い除けたりするのだが、珍しく何の反応も示さない。
 代わりに今にも消え入りそうな声で、

「本当……? 嘘吐いたら殺すから……」

 殺すってあたりは桐乃らしいのだが、どうも無理に虚勢を張ってるようにも見える。


 部屋に戻った俺は、黒猫と沙織に電話をかけた。

『今度の日曜? 悪いけどあなたの妹からそんな申し出なんて聞いてないわ』

『はて、可笑しいですね。きりりん氏からのお誘いは無かったでござるよ?』

 なんだ、桐乃のやつ。最初から俺しか誘ってないじゃないか。
 でも、いったい何のためにそんな嘘を言ったんだ?
 だいたい今日の桐乃の態度は可笑しい。
 麻奈実の事で怒ったら素直に謝ってくるなんて、あいつは本当に桐乃か?
 俺は改めて黒猫と沙織に電話をかけ直し、二人とも日曜に用事が無いことを確認した上で、偶然その場に居合わせたように装ってアキバのイベント会場に行ってもらうよう頼んだ。


 そんなこんなで翌日の金曜日だ。
 通学途中、横に並んで歩いている麻奈実が俺の顔を覗き込んできた。

「あ? どうした?」
「ううん、別に。ただなんとなくだけど、きょうちゃんに何かあったような気がして」
「何かってなんだよ」
「たとえば桐乃ちゃんのこととか?」

 こいつは超能力者か?

「何かあったといえばあったんだけどな」

 俺は桐乃のイベントの誘いを断ったらすごく悲しそうな顔になった事、桐乃の暴言(麻奈実のことを地味子と言った事には触れずに)に対して怒ったら素直に謝ってきた事、頭に手を乗せても抵抗しなかった事、俺以外にも誘える人間はいるにも関わらず断られたと嘘を吐いて俺だけを誘ってきた事を話した。

「うーん。よく分からないんだけど、どうしてもきょうちゃんと一緒が良かったんじゃないのかなあ」
「その程度の推理くらいは俺だって出来るわ。ただ、俺じゃないといけない理由ってのが思いつかなくてな」
「理由? 簡単だよー。桐乃ちゃんはきょうちゃんとでーとしたかったんだよ。ただ直接そう言うのは恥ずかしいからいべんとを口実にしたんだと思うよ?」
「は? それこそありえねーや」
「そうかなあ?」
「だいたいな、あいつははっきりと俺のことを大嫌いだと言ったんだぜ」

 俺にとっての一番は自分じゃないと嫌だと言ったことは……伏せておこう。

「ふーん。ところで、桐乃ちゃんからの誘いを断った理由は?」
「赤城との先約があったんだけど……くれぐれも他の誘いを断ってまで赤城との約束を優先させたってこと、赤城には言うなよ?」
「言われなくてもそのつもりだけど、どうして?」
「何かの弾みでそのことが赤城の妹の耳に入ったらまずいんだよ」
「なにがまずいの?」
「……腐るんだよ……」
「腐る……?」

 腐女子って概念、麻奈実はわかんねーだろうなあ。

「まあ、とにかくそういうことだ」
「ふーん?」


 学校が終わって帰ってくると、桐乃はリビングのソファの上で体育座りのように膝を抱えて顔を伏せていた。

「……ただいま」

 俺の言葉に桐乃はゆっくりと面を上げる。
 そして、か細い声で、

「あ、あのさあ……」

 とここまで言って、再び黙り込み、顔を伏せる。

「どうした?」
「ん……なんでもない……。おかえり……」

 おそらく日曜のイベントの事なのだろうが、ここまで塞ぎ込むなんて、麻奈実の言う通り俺とデートしたかったとか? いや、それは無い。
 普段の俺ならその可能性についても考える事もあるだろうが、今回に関しては何故かデートなどでは絶対に無いと確信めいたものを感じていた。
 理由はわからん。なんとなくそんな気がするだけだ。


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