過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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◆k4qYXRI5uY
2012/08/02(木) 16:50:41.44 ID:3hSDoCH60
加奈子はあろうことか俺の膝に座りたいと言ってきた。俺は素っ頓狂な悲鳴を上げてしまう。
一体どうしたというのだ、何故急に俺の膝に座りたいなどと。
「ま、まぁ別に良い……って待て待て、加奈子、一旦冷静になれ」
思わず反射的に了承してしまいそうになるが、なんとか思いとどまる。
どうする、何故か知らないが加奈子は膝に座る気満々らしいぞ。
でも考えてみろ、上にはまだあいつらが居るんだろう? それに下で映画見てると言ったんだろう?
ということは、だ。あいつらはいつ下に下りてきても不思議じゃない状況なのではないか?
下に降りてきたあいつらが加奈子を膝に座らせている俺を見たらなんて思うだろうか? それは簡単だ、『変態だ』って思うに決まっている。
そして加奈子を救うために俺の事を殴り、加奈子を俺の膝から引き離すだろう。
あやせの声もしていたから、下手をしたら殺される可能性だって出てくる。
という事で今俺がこいつを膝に座らせる=死ぬ覚悟が必要ってことだ。
さぁ、これからどうしようか。
そう考えると、先程まで見ていたテレビで子供のあやし方をやっていたことを思い出す。
よし、と気合を入れる。
俺は一先ず落ち着かせようと加奈子の頭を撫でる事にした。
するとどうだろうか、加奈子の顔が一気にふにゃぁとして蕩けてしまった。
顔が赤くなり、目がトロンとしている。
おぉ、流石NHK。凄い効果だ。
「く、クソマネぇ」
「うん? うんんんん!?」
だが、効果がありすぎたらしい。加奈子はふにゃけた顔のまま俺の膝にポスンと頭を乗せてしまった。
こ、これはいわゆる膝枕状態なのでは?
この状況では、膝に座っているのと一緒なのでは無いだろうか。
どっちにしろ見つかったらボコられるのではないだろうか。
嫌な考えが次々に浮かび、冷や汗が背中を伝った。
「だ、駄目だ、嫌な未来しか想像できねぇ………って、え!?」
どう転んでも最悪の結果にしかならない現状を確認していると、上の扉が開く音が聞こえてきたではないか。
これは、これはもう最悪のパターンなのでは?
駄目だ、冷静になれ、冷静に。そうだ、タイムマシーンを探せ。
ってそうじゃ無ぇだろ! ま、待て待て、本当に待って? もうどうすれば良いか全然分かんねぇんだけど。
足音が響くたびに、どんどんと冷静さを欠いていった俺は、何故かその時こんな結論に至った。
そうだ、寝たふりしよう。
この時の俺にどうしてそうなったかを小一時間程問い詰めたい。
「加奈子? 映画終わった?」
よりによってあやせかよ!!
心中で叫びを上げてしまう。
「ってお兄さん? どうしてここに?」
あやせは少しずつこちらに近づいてくる。
そして俺のすぐ傍まで来ると、息を呑む音が聞こえた。
「な、ななな、何してるんですかお兄さん!」
叫ぶと、あやせは俺の頭を引っぱたいた。重力にしたがって、横に倒れていく俺。
そう、そうだ、俺は今寝ているんだ。だから重力に逆らうな。あくまで自然に倒れろ。
体から力を抜き、横にポスンと倒れる、すると頭が柔らかい感触の何かに乗った。
ポヨンとしていて、ふにっとしていている。
? なんだこれは。
倒れた方向からして加奈子の方に倒れたのだが、一体何とぶつかったのだろうか。こんな感触のクッションは家には無かった気がするのだが。
「―――――――!!???」
俺がこの感触の正体について考えていると、どうしたのだろうか、あやせが声にならない悲鳴をあげた。
それから数分も経たず、なにかに掴まれて体をもとに戻された。
あぁ、もうちょっとあのクッションの感覚を味わっていたかった。
人知れず俺は嘆いたのだった。
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