過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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261: ◆YHxtVKAHbw[sage saga]
2012/08/06(月) 18:52:12.65 ID:DufMtpvzo
 そんなわけで初めて桐乃の部屋に足を踏み入れた訳だが、特に感慨はない。

 いつも俺のことを虫けらのように扱っている桐乃が恥ずかしそうにもじもじしている様子が珍しくて、そっちの方に気が行っていたのだ。

「で、なんだ? 話ってのは?」

 次の瞬間に起こった眼前の光景に、俺は自分の脳味噌を疑った。
 あの桐乃が俺に深々と頭を下げてきたのだ。

「な、な、な……?」
「……嘘吐いてゴメンなさい……。さっきのアレ……あたしの、もの、だったの……」

 この時の俺は、完全に気が動転していたので、『さっきのアレ』が何を意味しているのか分からなかった。

「……だから……捨てないで。お願い……!」

 なんか彼氏に別れを切り出された彼女のようなセリフだな。

 と、俺は見当違いのことを考えていた。

「捨てる訳ないだろ」

 この後に続く俺のセリフは完全に黒歴史ものだった。

「確かにしばらく口も聞かない時期があったけど、おまえは俺の妹だ。その関係を解消することなんてどんな事があっても出来やしねぇよ」
「え……?」

 桐乃の頭上に無数のハテナマークが飛び交っているのが目視でも確認できた。

 桐乃はしばらく目を瞬いていたが、

「ほんとに、ほんと?」

 そう聞かれたらこう返すしかないだろう。

「本当に本当に本当だ」

 ぱぁーっと笑みを浮かべる桐乃。
 どこか安心したような、ほっとしたような気配を感じる。

「あたしも……いつまでも妹だよ……。あに……おにいちゃん……」

『兄貴』から『おにいちゃん』に変わった。
 この年頃の女ってのは本当によく分からない。

 ていうか、なんでこの妹は寄り添うように兄の胸に顔をうずめているんだ?

「ほんとの事言うとね、全然話とかしてなかった時、すごく寂しかった。おにいちゃんがおにいちゃんで無くなってしまうような、どこか遠くに行ってしまったような気がして」
「そ、そうか……」
「今日のこともゴメン。あたしのバッグの中身、拾ってくれようとしたのに手を叩いてしまって」
「ま、まあ、気にすんなって。やっぱあれだろ? 化粧品とかそういうの、女の子としては男に触られたくないものだろ?」

 ここで桐乃は顔を上げ、俺の目を睨む……いや、見つめてるんだな、この表情は。

「“違うの”。化粧品なんかよりも見られたくないものがあったからなの。今日のゴハンの時の話、覚えてるでしょ? お父さんとお母さんが言ってたこと」

 夕食の時の話?

『あら、じゃあハーゲンダッツの新しいの買ってきてちょうだい。季節限定のやつね』

 お袋のセリフはこれだったな。

 って、やべ。
 早くこの話切り上げてコンビニに行かねえと。

 そいでもって、親父は……

『母さん、あとで桐乃を呼んできなさい』

 いや、これは桐乃が食卓から出て言った後のセリフだから桐乃は聞いてないはずだ。


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