過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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291:或る妹猫と黒猫の団欒 1/3  ◆ebJORrWVuo[sage saga]
2012/08/11(土) 23:57:06.75 ID:hEJc7d7LP
「……貴女は何故、平気なの?」

 黒猫からそんな言葉が飛び出したのは、あたしが五更家に入り浸っていたある日の事だった。
 
「なにが?」

 日向ちゃんや珠希ちゃんと一緒にいて、という質問であれば全然平気じゃなく今直ぐ抱きしめたい衝動に駆られているというのが答えになるけど、そういう意味?
 因みに自制出来ているのは、日向ちゃんも珠希ちゃんが今、仲良くこたつで眠っているからだ。

 この可愛い寝顔の前には、あたしが行動を起こせる筈も無い。
 さっきから一瞬足りとも微動しないようにして、二人を起こさないよう細心の注意を払っているぐらいだった。
 
「貴女のお兄さんの話よ」

 お茶をズズと飲みながら、黒猫は言う。
 不思議とこのゴスロリの格好にお茶が良く似合っている。
 なんでだろう、と考えながらもあたしは黒猫に答える。
 
「あのバカがどうかした?」

 あたしがあくまでしらを切るようにそう応えてみせると、黒猫はふぅ、と溜息を吐く。
 
「今……、京介はあの女と二人きりなのよね?」
「……そ、そうだけど」

 いきなり京介とか呼ぶな、なんかイラッとするから。
 
「悔しいけど、あの女は美しいわ。熾天使に対抗して闇天使のおつもりなのかしらね。あの美貌で誘惑でもされたら大抵の男は堕ちるんじゃないかしら?」
「熾天使ってなに?」
「……なんでもないわ。それよりも、貴女は気にならないの?」
「だって、あやせ、あいつの事嫌いだし」

 少なくとも誘惑とかは嫌いな相手にしないだろう。

「そう答えるという事は、あの女が誘惑をしたら京介が堕ちるかも知れない事は否定しないのね?」

 堕ちない、じゃなく、あやせが嫌いだから、誘惑をしない、という答え方をしたあたしに、黒猫が意地悪く笑う。
 
「……だって、あいつ、すぐふらふらするし」
「その事は否定しないわ。少なくとも、私と付き合ってる時は誠実には視えたけど。誰かと付き合ってないあの人は、ね」

 ……確かに、黒猫と付き合ってる時は、結構誠実そうだった、かな?
 でも知らないだけで、誰かと二人きりで会ってたりしそうだケド。
 そう言えば、何故か怪我して帰ってきた日があったけど、あの日は誰と会ってたんだろう?
 
「でも、貴女、もしかしてあの女が本当に京介の事を嫌いだと思っているのかしら?」

 過去を回想していたあたしに、黒猫が質問をぶつけてくる。
 意地悪そうで、しかし、真面目な表情。
 適当に誤魔化す事も出来そうにないので、あたしは真剣に考えてみる事にする。
 
 あやせが、京介の事を嫌いかどうか。
 
 あやせの事を信じるのであれば、嫌いだ。
 あやせの事を信じないのであれば、好きだと思う。
 
「それは、貴女が信じたい結果と、信じたくない結果ではなくて?」

 あたしがまだ答えてもないのに、黒猫はそう質問を重ねてくる。
 こいつ、時々妙に勘が鋭い時があるんだよね。
 時々、闇の力とか本当にあるんじゃないか、と思ってしまうぐらいに。
 
「……でも、他に選択肢がなかったし」

 あの時、あの場面。
 あいつを一人にしておくと、コンビニ弁当漬けになるのは分かっていた。
 だから誰かが面倒を見るというのはいい案だと思った。
 ただ、じゃあ、誰か適任かというと……。


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