過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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299:或るモデルの自覚  ◆ebJORrWVuo[sage saga]
2012/08/12(日) 01:59:44.46 ID:0Jlxs+tGP
 ふー、っと人参に息を吹きかける。
 う……、これはわたしも結構恥ずかしいですね。
 でも、これなら、お兄さんだって……。
 
 あれ、なんか一層、怯えてますね。
 この人参をぶっ掛けてやりましょうか。
 せっかくわたしがここまでやってるのに怯えるとはどういう事ですか。
 
「はい。あーんしてください」
「え、冷めたの、本当に今のだけで冷めたのか!?」
「冷めましたよ、はい、早く口を開けてください」
「わ、分かった……」

 お兄さんが覚悟を決めた顔で、口を開ける。
 その口に人参を運ぶ。
 
「あ」
「ふぉ、どうひふぁ!」

 口に人参を運ぶ直前で、少しつゆが垂れてしまいました。
 下がフローリングなので後で拭いておきますか。

「いえ、大丈夫です」
「ふぉ、ふぉんとか?」

 何言ってるかよく分からないお兄さんに、人参を運んであげます。
 お兄さんは目を瞑りながら口に運ばれてきた人参を、慎重に食べます。
 そして。
 
「あれ、美味しいな」
「……あれとはどういう事ですか? 今更わたしの料理の腕を疑ってるんですか?」
「いや、もっと地獄の業火のような熱さにのたうちまわる挙句になるのかと思ってた」
「一体何を想定してるんですか、あなたは……」

 というかそれなら食べる前に断ればいいんじゃないでしょうか。
 それともその熱さを期待していたのでしょうか。
 
「……心底変態ですね」
「え、何が!? 今の会話の何処に変態要素があったってんだよ!?」
「これからは、熱々の状態で食べさせてあげます」
「なんだよその拷問?! 俺が何をした!」

 全く……、変態の人と付き合うのは大変ですね。
 …………。
 つ、付き合うっていうのは、別にそういう意味じゃありませんからね?
 わたしとお兄さんが付き合うなんて……あり……。
 
 ちら、とお兄さんの顔を覗き見る。
 きょとんとした表情でわたしを見返すお兄さん。
 
 あ、ありえないかどうかは、神ではないわたしには分かりかねますが……。
 と、とにかく!

「で、どうなんですかっ」
「何がだよ! つか今日のおまえいつもに増して分からねえよ!」
「あーんしてあげた感想ですよ」
「ああ、…………、色んな意味でドキドキした」

 ……変ですね。
 想定通りの解答なのですが、お兄さんの視線が泳いでるのが気になります。
 更に言えば、少しげっそりしたような表情なのも。
 
 わたしがむーっとした表情を浮かべていると、お兄さんはその表情に気付いたのか、優しい表情を浮かべて。
 
「あやせの料理が美味しい事は知ってるよ。いつもありがとうな」
「べ、別に味の感想は聞いてませんっ」
「あれ、違ったか……」

 こ、この人は……。
 なんで狙いすましたかの表情で優しい声を出すんですかっ。
 少し的が外れていますが……その分、油断してて、その……。

「じゃ、じゃあ料理に戻ります」
「お、おう。お願いする」

 い、今はお兄さんに顔を見られたくありません。
 だ、だって……頬が熱くなってるのが分かりますから。
 も、もう、この人は……。


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