過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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365:或る兄妹の別れ 2/10  ◆ebJORrWVuo[sage saga]
2012/08/18(土) 00:02:38.46 ID:w9Y/glPqP
「これで充分でしょ。ここが今のあたしが許せる範囲。これ以上は無理だから」
「……分かった」

 扉を閉める。ドアからの灯りがなくなり、パソコンのディスプレイが唯一の光源となった。
 
 ……なんだってんだ?
 何故、部屋を暗くしたがるんだ。まさか、怪談話でも始めるつもりじゃねえだろうな。
 大体、その手の話、桐乃のが怖がりだしな。

 それに……ディスプレイがついてる割には桐乃、パソコンの前には座ってないな。
 そこから少し離れたベッドに腰を掛けてるようだ。
 
 光源の位置関係上、桐乃の表情は影になっていて見れない。

「で、何?」
「……いや、特にこれといって用はないんだが」
「用がないのに、あたしの部屋をノックしたワケ?」
「用がなくちゃ、おまえと話に来ちゃ駄目なのかよ」
「……駄目なんて言ってないじゃん」

 てっきり、駄目に決まってんでしょ、バカ?と返されると思ってたんだが……。
 別に機嫌が悪いって訳じゃないのかね。

「そっか。そんなら良かった」
「……じゃあ、あんたの用は特にないって事で良いんだよね?」
「ああ」
「なら、あたしの用に付き合って」

 桐乃の、用?
 なんだか嫌な予感しかしないんだが。
 まさか今からエロゲを買いに行けとか言い出すんじゃねえだろうな。
 
「……さすがに今から外には出たくねえぞ?」

 元々、おまえと居る時間がそんな無いからこの部屋に来たってのにそれじゃ本末転倒だ。
 
「あたしだって今から外に出すような鬼じゃないって。用っていうか、幾つか質問させて」

 深夜にエロゲを買いに行かせた鬼とは思えない台詞を吐きながら、桐乃は言う。
 
「質問? まあ、そんぐらいなら」

 何か答えづらいような質問でもぶつけてくるのだろうか。
 エロ本の隠し場所とかそういうのなら答えかねるぞ。
 
「あんた、さ……」
「なんだよ」
「……一人暮らし、あんな簡単に受け入れちゃったけど、どういうつもりなワケ?」
「どういうつもりって……」

 まあ、決まった事ならやるしかないよな。
 この家で決まったことを覆す事は殆ど不可能みたいなもんだ。
 
「あんたは、賛成なワケ?」
「……別に賛成って訳じゃねえさ。引越しの手間とか考えたらその時間使って勉強した方がいいんじゃねえかと思うしよ」

 こんな受験シーズンに起こすイベントとしては、余り相応しくない気がする。
 大体、金を支援して貰えるとはいえ、家事は自分でやる必要があるんだろ?
 どう考えても実家暮らしより、勉強する時間とか減ってるしな。
 
「あたしもそう思う」

 珍しく、桐乃から同意の意見が出た。

「だよな。まあ、その勉強よりもお袋や親父には俺とおまえの仲のが気になったのかも知れないけどな」
「そう、それ。何、そのあたしと京介の関係って。仲良くしちゃいけないワケ?」
「…………」

 仲良くしてるって自覚があったんだな。
 
「いいじゃん。仲良くして。何が問題なワケ? そしてなんで親がその仲を裂くような事をすんの? せっかくさ、仲良くなれたってのに……」

 …………。
 
「桐乃も、そう考えてたんだな……」

 不覚にも少し感動してしまった。


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