過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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609:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/03(月) 06:02:57.48 ID:WPqF8HGIO
「なあ、あやせ。こんな生活もうやめよう。お互いの為にならない。お前は若いんだ。まだ他の男とやり直せる」

静かに涙を拭った夫は先ほどの書類を取り出し、いつも持ち歩いている判子をその書類に押すと、私に渡した。

「俺は今日は早いんだ。離婚届に必要なことを書いといてくれ。それから暫くは実家で暮らすから。」

今まで優しく、私を気遣ってくれた夫の内心に気付けなかった愚かな私は、あまりの衝撃に引き止める言葉すら紡げなかった。


夫が離婚届を置いて去った後。私は回想に耽りながら、静かに泣いていた。

あの優しく、いつもわがままな妹やその友人(私も含めて)に耐えていた夫。その夫があんなに追い詰められ、自分だけでここまで決めてしまうとは。

その決心の深さに驚いて引き止めることすら出来なかった私。とても仕事に行く気にはなれない。1人になりたかった。

体調が優れないから休みたい、と父に連絡をとる。そういえば朝食も食べていない。食べる気もしないが。

いっそあの時、胸ぐら掴んでふざけたこと抜かすな、ぶち・・・等と叫んだ方が良かったかも知れない。でも、出来なかった。そんな力は残されていなかった。

机に置かれた離婚届が現実に私を呼び戻す。これを書いてしまえば・・・私と夫は赤の他人になる。そうなれば、夫はどうするだろうか。

お姉さん、黒猫さん、きっと誰かが夫を今よりも幸せにしてくれる。残念なことに、今の私は彼女達に勝てない。私には京介さんの妻は役不足だったのだ。

夫の幸せの為。私がペンを取り出した時

プルルルッ、プルルルッ

家の電話が鳴る。もしや夫では・・・

「も、もしもし!?」
「お、あやせ?ちーっす、加奈子だけどさ」

一瞬期待した自分が愚かだったのに、旧友からの電話を喜べず怒っている私がいた。

「いやさ、京介そっちにいねーかなって」

京介。その言葉に心を動かされる。

「なんかさ、急に今日は休むって電話かけてきやがってよ。超迷惑だっての。んで、もし風邪とかなら加奈子夕方オフだからよ。見舞いにでも行こうかなって思ってさ。」

そんな・・・今日は早いって言って出たはずなのに・・・

「そんでこっちから電話かけても出ねーしよ。あっれー、あやせ?聞いてる?」
「うるさい!」
「ヒッ!あ、あやせ様何を怒ってらっしゃ・・・」

ガチャ!


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