過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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764:或る分岐点 秋美Bルート  ◆ebJORrWVuo[sage saga]
2012/09/17(月) 17:27:04.43 ID:EPEdYzB9o
 がらっ! と彼女の足元が崩れた。

「え……きゃっ……」
「! ……さ、さくらい……ッ!!」

 俺は咄嗟に櫻井へと手を伸ばした。
 しかしそれだけじゃ、手が届かない。
 届かなかった、だから仕方なかった――
 
「なんて許すかよおおおおおおっ!!」

 たっ、俺は地面を蹴る。
 その俺の行動を見て、目を見張る櫻井。

「き――きょうちゃん……ッ!!」

 誰かの叫び声が、響き渡る。
 宙に浮かぶ俺の身体、岩場から落ちようとしている櫻井の身体。
 極度のスローモーション、時間が止まってみえる程。
 
「うおおおおおおおっ!」

 櫻井の手へと手を伸ばす。
 櫻井もまた俺へと手を伸ばす。
 
 やがて重なり合う双方の手。
 俺はその手を引っ張る。

「…………え?」

 声を漏らす櫻井。
 それもその筈、彼女はこの結果を知ってて俺に手を伸ばしたわけじゃない。
 寧ろこの結果を知っていたら、彼女は手を伸ばさなかったかも知れない。
 
 彼女の手を引っ張れば、自然、踏ん張る地から離れてしまっている宙の俺は、櫻井の居る方へと近づく。
 岩場から落ちる位置へと。
 
「おおおおおおおっ!!」

 それでも俺は全力で引っ張りあげる。
 その行動に櫻井の抵抗が感じられた。
 口からは声を出せず、ただ、駄目と口が動いてるのだけは見えた。
 
 安心しろよ、身体の鍛え方がちげえんだよ、俺とおまえじゃ。
 
 櫻井に目で軽く笑んでやれば、そのまま力任せに。
 俺と櫻井の位置を逆転させた。
 
「……ッ!」

 岩場の上に引き上げられた櫻井は、体勢を崩しつつも無事、そこに留まる事に成功する。
 そして、対して落下側に自分から加速させた形になる俺は、景色を楽しむ間もなく、その侭、岩場の下へと落下した。
 
//

 格好良く櫻井を助け出し、一躍ヒーローになったかと思いきや、俺はその後、麻奈実に大泣きされ、担任に2時間ほど説教を食らう羽目になった。
 因みに、片手を強く打った為、片手こそミイラ男みたいに包帯巻きになっているものの、他に大きな怪我とかはしていない。
 一度、教師の間で林間教室を中止にしようという動きがあったようだが、怪我人たる俺が全力で反対を主張し、挙句にこの手で逆立ちをしてやろうとし始めた辺りで、続行が決まった。
 但し俺に関しては教師の強い監視の元、という制約がついてしまったが。
 
「……なあ、麻奈実」
「……なに」
「ち、ちょっと散歩行ってくる」
「着いてく」

 そして監視するのは教師だけじゃなかった。
 何だか怖い顔をしている麻奈実も自主的に俺の監視を行なっていたのだ。
 しかも俺が立てた作戦の全てを麻奈実に看破され、監視の目を掻い潜ることが出来ずに居る。
 
「……そう言えば、櫻井はどうなった?」

 以下に麻奈実の目から逃れるかを考えながら、俺は部屋から出て、散歩コースに設定されている近くの森を目指す。
 その後ろを付いてくる麻奈実。



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