過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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◆6U1bthnhy6
[sage]
2012/07/24(火) 23:43:52.84 ID:28KcrTfDO
「ではよろしくお願いします」
そういうと加奈子は親父とおふくろに抱いていた娘を差し出した。
昇進祝いの豪勢な食事の後、加奈子の提案で俺達3人は久しぶりに水入らずで飲むことにしていた。
勿論今から飲みになど出るわけはない。
リビングでの家飲みである。
『「或る結末の続き」の続き』
「飲みすぎるなよ?」
「わぁーってるよ」
「ばいば〜い」
「おやすみ〜か〜なみちゅあ〜ん」
「ご迷惑おかけします」
「なに他人行儀なこと言ってるの。好きでやってるんだからいいのよ」
三者三様に挨拶を交わす俺たち。
それから二言三言話して親父たちは自分たちの寝室へと向かった。
パタンとリビングの扉が閉まるのが合図。
「さてそんじゃ始めますか」
そう声を掛けて俺たちはささやかな酒宴の用意を始めた。
※
「さて俺はそのままビール続行でいいが・・・っと」
がさごそと冷蔵庫の中身を物色しながら、俺はキッチンでつまみの用意をしてる二人に声を掛けた。
「なー、桐乃と加奈子はなに飲むー?」
「シンガポールスリング」
「私はジンフィズでお願いします」
「はいよっと・・・シンガポールスリングにジンフィズっと・・・は?」
おい待て。
今こいつらなんてった?
「す、すまん聞き違えたみたいだ。なに飲むかも一回言ってくれ」
「シンガポールスリング」
「私はジンフィズで・・・」
「いや、さらっと同じこと繰り返してんじゃねぇよ!?」
立ち上がりながらツッコむ俺。
なにその洒落た名前の飲み物!?
ほぼ聞いたことすらないんですけど!?
しかしその俺の激しいツッコみに、本当に、ほんとーに面倒くさそうに桐乃がじろりと目を向けた。
「・・・は?なにが?」
うおお・・・視線が氷点下だ。
しかもドM大喜びの視線に加え、吐き出す言葉も怖いくらいに冷たい。
お兄ちゃん、ちょっぴりあの頃のこと思い出しちゃったよ。
「や・・・あのほら、家に、カクテルなんてもんないじゃないッスか?」
「うん。それで?」
「そりゃあのつまり・・・俺に今から買った来いって事ッスか?」
「はあ?ばかじゃん?」
・・・言い方まで当時と一緒ですか。
桐乃はふんっと鼻を鳴らすと、腰に手を当てて俺に向き直った。
「今更お店行ったって閉まってるし、大体シンガポールスリングなんてその辺じゃ売ってないっつーの」
「んじゃそのありえない無理難題を、なんで今俺に言ったんですかねぇ!?」
「決まってんじゃん、あんたが作るから」
「・・・は?」
「聞こえなかった?あんたが、作るの」
さも当然のように言われた、明らかに異常な言葉に俺は混乱する。
数瞬間を置き、頭の中で言葉を吟味しこねくり回して、口から出たのはこの一言だった。
「あー・・・桐乃?お前何言ってんの?」
「はあ!?なに言ってんのじゃないでしょ!?あんたが作るんだって言ってんじゃない!!」
予想通りというかなんというか・・・お前ってほんと変わんねーのな。
そのまったく説明になってない説明はよっ!!
「いやそもそもその言葉の意味がわかんねんだっつの!!なんで俺が作るの!?つか俺つくれねーよ!?」
「はあ?その程度のスキルもないわけ?はあまったく、これだから万年平社員は・・・」
「いや俺出世したし!てかそーゆーこっちゃねーよ!!道具もなしにどうやって・・・!?」
「道具ならありますよ?」
白熱した言い合いに発展しかけたところで、傍らから声がかけられた。
「加奈子?」
頭一つ小さい俺の嫁は、にっこりと笑いながらすっと人差し指を自分の唇に添えた。
「とりあえず二人とも声が大きいです。お義父様たちに迷惑ですからもう少し静かにしましょうね?」
その仕草は愛らしい外見にとてもよく似合っていて、俺は思わずこう思った。
俺の嫁はこんなにもかわい・・・。
「見惚れてんな。キモッ」
繰り出された右拳は、見事に俺のこめかみを打ち抜いていた。
・・・あやせといいお前といい、その的確に急所を狙う癖やめねーか?
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