36: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/07/16(月) 02:34:13.99 ID:CZnO16LJo
クラスが静まり返った。
視線がこちらに集中する。
……あー、こういう音するんだ。結構でかいんだな。
俺も夜空も実際に鳴らす事はなかったので、音は初めて聞く。
「あっ、ごごごごごめんなさい!!! ちょ、ちょっと、び、びびびビックリしただけだから、そ、そそそそその許してくださいいいいいいいいい!!!!!」
「……い、いや、いいよ。その、気にしなくても」
「お、お金なら、い、いいい今3000円し、しかなくててててて!! あ、あののの、こ、これで、か、かかか勘弁し、ししし……」
「ほ、ホント大丈夫だから。わ、悪かったな驚かせて」
俺はそう言うと、ゆっくりと自分の席へ戻る。
その途中、ショックで足取りがおぼつかなかったのか、他の机にガンッ! と足をぶつけてしまう。
「あ、ごめ――」
「きゃあああああああああああああ!!!」
ビー!!!
「…………」
「ひっ……あっ、ごめんなさい!!! わ、私も、えっと……び、ビックリしちゃって……ッ!!」
「あ、あぁ。こっちこそごめんな、驚かせて……」
「わ、私、ま、まだその、しょ、処女なんで……ゆ、許してください!!!」
「……大丈夫だって、気にしてないよ」
そんなやり取りをして、俺は席に戻った。
先程までの和やかなクラスの雰囲気はどこへやら。
今や、空気は殺伐とし過ぎて、どこか痛いくらいになっていた。
俺はちょっと泣いた。
***
「ど、どうしたんですか小鷹先輩。ジョーみたいに燃え尽きて」
「……あまり触れてやるな理科」
放課後。
俺はいつも通りに理科室に来ていた。
といっても、どうやってここまで来たのかは覚えていない。
何でも、俺がフラフラと屋上へ向かうのを見た夜空が慌てて引きずって来たとか何とか。
理科が、そして夜空までもが哀れんだ目でこちらを見ている。
やめてくれ、余計悲しくなるから。
その時。
コンコンと、ノックの音が聞こえた。
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