9: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/07/15(日) 20:42:51.62 ID:arZspdAto
俺は懐からとあるものを取り出す。
理科の発明品、C4爆弾……のようなオモチャ。
以前に俺がクラスでテロを起こそうと思った時に理科が俺にくれたものだ。
威力こそ大したことないが、音はそれなりに大きい。
だから、これを鳴らせば気が付いてくれるのではないか、と思った。
(……待て待て。俺謝りにここまで来たんだよな? それでいきなりこれって大丈夫なのか?)
そんな事をふと考える、その時。
ガシッ、と何者かに後ろから手首を掴まれた。
「いっ!?」
俺が慌てて振り向いてみると、そこには金髪の美しい女性執事がいた。
「……あまり物騒な真似はしないでください」
「す、すみません、オモチャですこれ!」
俺が慌てて言うと、金髪の執事はゆっくりと俺から離れた。
そして。
「ふん、君は隼人に似て相当やんちゃなようだな」
そんな事を言いながら扉の向こうから現れたのは。
険しい顔をした、着流しの男だった。
歳は30前後だろうか、髪は前髪を後ろに撫で付けて結んだ、いわゆる総髪というもの。
父さんの事も知っているようだし、おそらくこの人が理事長なのだろう。
ちなみに『隼人』というのが俺の父さんの名前だ。羽瀬川隼人。
「よく来た。私は柏崎。聖クロニカ学園の理事長だ。こっちは家令のステラ」
「は、初めまして理事長。羽瀬川小鷹です。えっと、今回はその、本当に……」
「まぁ、話は中でいいだろう。夕食の準備もしている」
「え……ゆ、夕食??」
「なんだ、もしかしてもう済ましてしまったのか?」
「あ、いえ……まだですけど…………」
「そうか、それなら良かった」
俺は少し混乱する。
今回は停学の件で謝りに来たんだよな?
なんだかこれでは、どこかもてなされている様な気もする。
そんな疑問を抱きながら、俺は理事長とステラさんの後について屋敷の中へと入った。
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