963: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/08/27(月) 14:48:03.32 ID:rvvGPYaNo
「もうちょっと近づいてくださーい!」
「はい……」
もう十分近いのだが、メイドはまだ足りないと言う。
ニヤニヤしている辺り、たぶん距離的にはもう問題ないのだが、ただ面白そうというだけで言ってる気がする。
幸村は俺と完全にくっつくようにして……そして俺の腕を遠慮気味に掴んだ。
「いっ!?」
「おぉ、小鷹と幸村はラブラブだな!!」
「……むぅ」
マリアは楽しそうにそんな事を言って、夜空は顔をしかめる。
すかさず金髪ツインテールのメイドはシャッターチャンスとばかりに、
「はい、チーズ!」
パシャ、とカメラのフラッシュがたかれた。
写真を確認してみると、俺の表情は明らかに引きつっており、いつも以上に酷い。
だが、幸村は本当に嬉しそうに、それを自分のケータイに移してもらっていた。
「あにき……わたくし今日の事はいっしょうわすれませぬ」
「そ、そんな大げさな…………」
俺は満面の笑みの幸村に動揺しつつ答える。
先程から動揺しっぱなしだが、これだけの美少女に笑顔を向けられて平常心を保てる男子高校生というのも中々居ないはずだ。
ふいに誰かに足を思い切り踏まれた。
「いってえ!!!」
「あぁ、すまん。間違えた」
「何をどう間違えるんだよ……」
夜空はプイッとそっぽを向いてしまう。
このメイド喫茶は夜空にとってはあまり楽しくなかったようだが、まぁ幸村が嬉しそうだから良かった。
幸村は先程の写真をケータイの待受画面に設定していた。
俺としてはかなり恥ずかしいが、幸村の顔を見ていると止めることはできなかった。
***
俺達はメイド喫茶から出て、再び人の多い廊下を歩く。
夜空はフラフラと危なっかしい足取りだが、何とか耐えているらしく目にはまだ光がある。
時々マリアが好き放題に走り回って行方が分からなくなりかけたりもしたが、その都度幸村がちゃんと連れてきてくれた。
「マリア、今度居なくなったらお前を首輪で繋ぐからな」
「く、首輪は犬みたいで嫌なのだ! 大人しくするから許してください!!」
「それでいい。……で、次はどこへ行く?」
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