過去ログ - 春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」
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981:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』そのA[saga]
2012/11/12(月) 22:31:31.51 ID:rV6R5Epio
 そのオーディションは現時点での千早の評価からすると少し要求するレベルは上だったが…彼女の実力ならば充分に合格できるものだと、プロデューサーはそう判断していた。

 しかし、アイドルのオーディションでは、単に歌えればいいというわけではない。

 いや…それは千早もプロデューサーも承知の上であったが…レッスンで見守られながら歌い踊ることと、審査員に見守られながら演じることは違う。

 それはなんてことのないダンスのミスだったが、「本番で失敗した」という事実が、彼女の心を苛む。

 内に生まれた不安は波紋のように広がり、失敗が失敗を生み、それはついに彼女の最大の強みである歌にまで及ぶ。

 結果は、惨敗。確かに周囲のランクも実力も高かったが…千早の実力から言えば、落とすはずではなかったはずだ。

 『失敗したのは自分の実力が足りないからだ』『もっとレッスンを増やしてほしい』そう千早は提案するものの…

P「いや、今週は休もう」

 プロデューサーは千早の焦りを察し、まずは彼女を落ち着かせようと休業を提案する。しかし…

千早(こんなことをしている場合ではない…)

 やるべきことがあるのに、できない…休むことで逆に、彼女の心には焦燥感ばかりが生じていった。

 仕事に戻った千早は、今まで以上に必死になって練習に打ち込むようになる。ダンスに対しても、病的なまでに熱を入れるようになった。

 しかし、そんな焦った気持ちで物事が上手く運ぶはずもなく。

 レッスンでも、今まではありえなかったようなくだらないミスをするようになり、オーディションを受けては落とされ…

 そんなことを繰り返していくうちに、やがて千早は自信を失っていく。プロデューサーが、あれだけ望んでいた歌の仕事の話を持ってきても、『今の自分にはその資格はない』と拒否するようになってしまった。

 『彼女の自信を奪ってしまったのは自分だ』…プロデューサー自身もまた自分を責めるようになり、こうなってしまっては、もはやこのまま二人揃って潰れていくだけであった。


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